フロアエッジのデザインは2023年のキーポイントになっています。
Y=800mmの線上Z=15mmになったフロアエッジは、フロアの気流を乱す空気の侵入を物理的に遮る事が難しくなりました。
フロアエッジエアロシールを作り出す為のソリューションは進化しています。
表面から路面側へ気流を導くスリットが復活している事に注目しましょう。
フロアエッジ周辺のレギュレーション
このようなデザインがなぜ許されるのか?レギュレーションを確認してみましょう。
3.5.1 フロアボディ
f. その完全な表面は、任意のY平面と交差するとき、連続した、閉じた、上または下から見える部分のすべての部分を持つ単一のセクションのみを生成しなければならない。ただし、Y=595のアウトボード(車両中心面に遠いところ)には、そのようなセクションが2つ許可される。ただし、以下を条件とする:
i. これらの 2 つのセクションは、10mm 離れた 2 つの Y 平面内に含まれる 1 つおよび 2 つのセクション間の移り変わりを除いて、任意の Y 平面上で互いに 50mm 以上離れていません。
ii. 最前セクションの最後部点がXF=1700より後方にあること。
うーん、いつもながらレギュレーションって難しいね。
簡単に言えば、フロントアクスル後方1700mmから始まりフロアの幅800mmから内側205mm以内には、離れたセクションが2つ許される。
離れた部分の垂直間の隙間は10mmまで、高さが50mmまで?(Y平面上50mmがよくわからない)
フロアエッジの表面にあるエアスリット
気流が通るスリットは2020年まで使えたソリューションでした。
フロアエッジ表面から路面側へ吹き出す気流を作り、フロア下に侵入する空気を防ぐ。
これを再現するものが2023年に大きく見える形で登場しました。
レッドブルRB19のフロアエッジスリット
①のこの長いパーツで一つです。
メルセデスW14のフロアエッジスリット
メルセデスは昨年のW13で一部これを使っていましたが、W14では最大限にロング化してきました。
メルセデスW13のスリットは以下の画像
マクラーレンMCL60のフロアエッジスリット
マクラーレンもロングスリット化しています。
但し、Zカットせずに行っている点がレッドブルやメルセデスと違うところ。
昨年も似たようなものがありましたが、あれは積極的に気流を導くものでは無く、圧力差で稼働させて物理的に密閉するものでした。
まとめ
まさかのフロアエッジスリットの復活となった訳ですが、現状確認出来ているのはこの3チームです。
アストンマーチンAMR23はこのソリューションを採用していなくレッドブルRB18を模倣した形になっています。
レッドブルRB19はこれを採用して速さが更に増している。
フェラーリSF-23にはこれがありません。
2戦共に予選では速いのに、レースペースでメルセデスW14と同等ぐらいになってしまう。
と言う事は、フロアのダウンフォースを安定して高める非常に有効なソリューションだと言えるのです。
マクラーレンMCL60はZカットせずに行っているため気流の強さが足りないかもしれない。
フロアエッジ付近はデザイン変更しやすい場所です。
今後のアップデートで他のチームがこれを真似してくるのは必至だと思います。
今年は去年よりダーティエアーが増えたと言ってるのもコレも要因のひとつですかね?
アウトウォッシュ増加=フロア機能の安定
これはF1の歴史上で絶対に起こる現実です。
マシンにあたる気流を横に横に、リア周りに乱流の侵入を防ぐ。
フロアのキックポイント辺りで発生する負圧の最大値を上げすぎず、リアの最大ダウンフォースを調整。
車高の最大下がりを抑制してストールを回避する事も必要。
今年のフロア規制でフロアのダウンフォースが減少
↓
他車の後ろに着くと去年より不安定になった
↓
去年よりダーティエアーが増えた(ように感じる)
って事かなと想像していますが、どうなんでしょうね。
こう言ってるチームはフロア規制対策が遅れてるのかな。
前時代の純粋な?スリット(切り込み、切り欠き)と違って蝶番付きの可動弁って感じですね。大昔禁止されたスライドスカートに近い印象。フロア下が高圧になった時に「抜く」機能が付いていることが違いますが。
去年大問題となったポーパシング対策として夏頃から流行り始めたものですが、先々「ポーパシング?何それw」になった頃「はい可動空力やっぱ禁止ねw」←こんな気がします。
可動は流石に言い過ぎかとw
まだこういうレギュレーションの穴みたいなのがある
それを利用する想像力は凄いです。
F1TECHのコメントで、このアイテムを「フロアエッジウイング」と直球で呼んでる人が何人かいました。うん、定着したらFIAを煽る名前ですね、やっぱり禁止一本道?
フロアエッジウィングは、フェンスの一番端の事なんだけどなぁw
なぜ禁止と思われるのか?レギュレーション通りで、昨年から使われています。
最大限の恩恵を受けるためには、強い流れを導く必要があるので、単純に真似しても機能しません。
例えば、AT04やFW45が真似しても関の山でしょう。
フロアエッジの切り欠きについてはF1TECHのスレに面白いものが載っていますね
AMuSが解析したCFD画像ですが、なるほどと腑に落ちた気がします
それとRBやAMのデフューザー形状やRBのビームウィングの大きいこととか
AMは次にリアウィングとビームウィングをアップデートしてくるのかな?
最近テクニカルはあまりチェックしてないですねぇ。AMuSも面白そうな記事は全部有料になりましたし;;)
リンクわかれば教えてください。
画像の出典元はAMuSですが、あそこは無料で読めるものが限られているので確認できていません。
件のリンク先はこちらになります。
https://www.f1technical.net/forum/viewtopic.php?t=30910&start=255
切り欠きのところで負圧を下げて前後バランスをとっている感じの画像になっています。
これは2022年の初めに確認してます。
エッジでは無くディフューザーの切り欠きですね。
エッジのスリットCFDが出たのかと勘違いしましたよ。
なるほど、よくよく見ると2022年のやつですね。
失礼しました。
共通してるのは昨年ポーパシングに悩まされなかった(+必死に解決した)チームというところですね。
偶然?
今回の記事何度も読み返してもよくわからず、今やっとわかってきたかもしれません。
フロアエッジスロットによるアウトウォッシュとは、表面のスリットからアンダーフロアー側に空気が流れ込んで、そのままアウトウォッシュになっているということでしょうか。
レッドブルRB19の画像に書かれた青い線を見て、勝手に①の長いパーツの外側(表面側)に下向きの空気の流れができると理解してしまい、なんでそうなるのかな?と疑問だったのです。点線矢印ですので①のパーツの奥側を空気が流れている。よく読むと「スリット」ですものね。スリットから反対方向、つまり表面から裏側(フロア側)に空気が吸い込まれて、しかし流れが強いのでアンダーフロア側に吸い込まれることもせず、そのまま地面にぶつかってアウトに流れていく。そういうことでしょうか。図はアップできないので下手なテキスト絵を書いてみました。よろしくお願いします。
slit
———\ -\①のパーツ
under \ \
floor \——> outwash air
===================================== 路面
その通りです。
前から見て右側の話です。
前から見ると空気を↘︎に移動させています。
その先に1cmの隙間があり、その流れを強く固定出来るのです。
前段階でフェンスの一番後は、上から見て空気を↗︎に移動させています。(実はこれが一番重要)
更に前段階ではフロントウィングでも↗︎
大気は常に空間にあるもの、移動させれば、その位置には周りの大気が流れこみます。
アウトとダウンが同時に発生する。
もう一歩考え方を追加しましょう。
大気は必ず空間や隙間を満たします。
その方向性を操作するのが空力です。
部分的に風を流すイメージから脱却しなければなりません。
回答と説明ありがとうございました。なるほどと理解できてスッキリしてます。また夜分に作業させてしまったようで恐縮です。オーストラリアGP何チームが採用してくるか楽しみです。
この動画の5分38秒のところの外からディフューザーに入ってきてる線のことですか?
https://youtu.be/bwdJti1NUb4?t=338
その動画のCFDはあまり参考にならない。
RB19のディフィーザーのフロービズです。
トンネルからの流れが中央に寄っていき、その横に切り欠きからの流れがはっきりとわかります。