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【F1空力学】フロアフェンス排出渦とサイドポッドの空力!雨水が教えてくれるエアフロー

【F1空力学】フロアフェンス排出渦とサイドポッドの空力!雨水が教えてくれるエアフロー

https://www.formula1.com/

2022年カナダGPのプラクティス3は雨に見舞われた。

その雨による水が今年の空力の多くを教えてくれています。

 

雨の中、白く視認できる部分は空気中の水量が多い事を示しており、空気の流れが集中する部分になります。

面白い空気の流れを確認していきましょう。

2022年F1マシン後方の空気の流れ

後方に発生する乱流を減らすとの目的で、アウトウォッシュを発生するものやボルテックスジェネレーターが大幅に削減された。

リアウィングのエンドプレートで発生する渦流が無くなった事も大きく反映されています。

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リアタイヤの後端から内側にフレッシュエアーが流れ込んでいます。

乱流が逆三角形(▽)のような形で上がっています。後方を走るマシンへの影響が大きく減少している事がわかります。

フロアフェンスの排出渦とサイドポッド

フロアフェンスはマシンの横へ空気の流れを90°曲げるように収縮し排出されます。

そのエネルギーはかなり強く、回ってマシン側に戻る所に空気が多く流れる。

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フェンスで流れを曲げる角度の強さで、フロア前部の負圧が増加しますが、その代償がこのようになります。

サイドポッド後方が無いとマシン後方に入り込みリア周りの空気を乱す。

マクラーレンはサイドポッドを少し長くした事で、リアタイヤのギリギリ内側ラインになっています。

 

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ウィリアムズを見ると、フェンスの排出渦やサイドポッドのアンダーカットあたりから、多くの乱流がリア周りに流れ込んでいるのがわかります。

ターンインでもターンアウトでもリアを失いやすい理由はこれです。

 

これらを踏まえた上でフェラーリを見てみましょう。

巨大なサイドポッドがあるフェラーリF1-75の凄さ

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フェラーリのフロアフェンスは角度が強く排出渦が強いのですが、長いサイドポッドと高いサイドポッドによって乱流を完全にシャットアウトしています。

 

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ディフューザーやリアウィングに全く影響しない位置まで離れている事がわかると思います。

低速ターンのフェラーリとウィリアムズの比較

モントリオールのターン1、ボトムスピードは約80km/hぐらいです。

再生速度は0.2倍になっています。

ほぼ90°に曲がるターン1、イン側のウェットパッチを拾ったフロントタイヤ、その流れがどうなっていくのかがよくわかると思います。

ウィリアムズはリア周りにほとんど入り込んでいるのに対して、フェラーリは完全に外側に弾いています。

 

低速域では車高が上がり、フロアダウンフォースは減少しています。

低速域ではウィングなどの表面的な圧力で稼ぐダウンフォースが有効となるので、フェラーリの低中速コーナーの強さを証明するものとなるでしょう。

まとめ

フロアフェンスの排出渦(乱流)は、4月の段階でも記事にしておりましたが、あの時の理論と概ね合っていると思います。

しかし、ボディ側にあのような流れが形成されるとは・・・空力とは面白いですね。

 

今回の雨では、レッドブルとメルセデスの映像が乏しく確認できませんでした。

 

レッドブルはフェンスの角度が浅く排出ポイントが纏まってなく2か所あります。

前側はフェラーリなどと同じように大きく回転しますが、後方はほぼ路面に吹き付けるように排出されているようです。

流れの集中するところが入り混じるようになっている為、はっきりと確認できませんでした。

 

メルセデスは、基本的にボディ側に入り込みますが、ミラーステイウィングなどを使ってそれらを下げて、デュフューザー上面へ導いているでしょう。

流れを流れで整流する事が如何に難しい事か・・・風の影響も大きくなってしまいます。

 

サイドポッドを延長したり作り替えたチームは、アルピーヌ・アルファロメオ・マクラーレン・アストンマーチン・ウィリアムズで計5チームもある事がその優位性を示しています。

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コメント Comments

コメント一覧

  • じゅんた がコメント

    2022-06-23 15:23

    ターン1の比較動画、フェラーリ凄いですね。
    見事に弾いてます。
    まさに、やっぱりF1はこうじゃなくっちゃ!って感じです。
    レッドブルとメルセデスがどうなってるのか?FP3を見直してみます。

  • 917K がコメント

    2022-06-23 22:05

    メルセデスも当然、事象の把握/理解はしているでしょうが、ゼロポッドに拘るのは何故でしょう。バルセロナみたいにピンポイントでハマると圧倒的なパフォーマンスとなるからからでしょうか。

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2022-06-23 23:12

      モノコックが元から幅を狭くするデザインのため、サイドポッドを広くしてラジエーターを移動する事が難しい。強引にやれば固定台などの延長で重量が増える。
      時間も予算も足りないなどが考えられます。

  • ベラチカ がコメント

    2022-06-23 13:03

    Racecar engineeringのサイトで興味深い記事を見つけました。

    https://www.racecar-engineering.com/articles/f1-2022-overtaking-comparison-using-cfd-analysis/

    コメントの多くが新しいレギュレーションがシミュレーションで抜きやすくなったと言っても結局DRSが無いと抜けないじゃないかという意見でした。私も同じように感じています。

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2022-06-24 22:16

      後続車への乱流が少ない=スリップストリーム(トウ)が無い
      高いディフューザーによって高い位置に後方乱流が発生、マシンに当たらないようになっています。
      これを当たる高さまで下げると、またまたコーナーで近づけない状態となるでしょう。
      結局、どっちを取るかになってしまいます。

      疑似的にトウ状態を作り出すDRSは必要だという事です。

  • DR がコメント

    2022-06-24 22:07

    DRSもないと抜けませんがタイヤ差も併せて必要なシーンが多いですね。

  • ボッシュモトロニック がコメント

    2022-06-24 22:41

    変な質問ですいません。
    ずっとレインコンディションだと路面が濡れたままですが、
    雨が止まってドライに変化すれば路面に残る水分をバキューム効果で吸い上げてくれるので路面乾くのが早いでしょうか?
    グラウンドエフェクトカーが掃除機みたいに?
    昔ウイングカーでは無かったですが、巨大扇風機みたいなファンを備え付けたF1マシン?を見て、ふと思ってしまいました。

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2022-06-24 02:41

      雲次第、気温次第、太陽次第ですよ。
      路面から水分を吸い上げるだけなら昨年のマシンの方が勝ります。

  • 通りすがった人 がコメント

    2022-06-25 00:04

    フェラーリはリアタイヤ周辺の流れも見事ですけど、フロントタイヤ上から流れた乱気流が高く跳ね上げられてリアウイングに当たらないのも目に付きますね。超高速域ではドラッグになりそうですが、リアウイングにきれいな空気が当たるからトラクションは稼げそうです。
    あまり形が変わらないマクラーレンではリアウイングの下に流れ込んでいるので、比較するとかなりの驚き。ひょっとしてサイドポッド上面のくぼみは、この流れを生むためなんでしょうか?

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2022-06-25 00:12

      フロントドラムディフレクターの形は決まっていて、多分画像の角度でそう見えるだけです。
      正面から見ればリアウィングを避けて上がっていますよ。
      画像には速度域の違いもあるので注意が必要です。
      速度が違えば流れも変わります、特に車高の影響を受けるサイドフローは結構変わります。
      FP3をまだ見れるのであれば確認してみてください。

  • mach がコメント

    2022-06-25 02:40

    初コメントです。色々お世話になっております。
    ポーポシングの件なんですが、やっぱり負圧になったときの抜き方が大事なんでしょうか?それとも、負圧になりすぎない方を重要視しているんでしょうか?他のカテゴリー、特にインディーカーの方では、どの様な対策をされてるんでしょうか?質問ばかりですみません。よろしくお願いします。

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2022-06-25 02:57

      キックポイントの流れの停滞であれば、停滞させないように広げる事が重要です。
      横に広げるか?縦に広げるか?(車高)、選択は二つしかありません。
      今の開発経緯は、横に広げて停滞を無くす選択が多いです。それを行うと負圧が減るので、各チームで色々な対策が行われています。

      サスが硬くて飛び跳ねるのであれば柔らかくする、柔らかいと荷重増加で縮みやすいので車高を上げる。
      車高を上げて、負圧を最大限作れるマシンが優秀となります。

      他のカテゴリーにはそもそもトンネルフロアが無いので、このような問題はほぼありません。
      インディの共通シャシーは2012年製ですから、空力概念が古すぎて比較にならないです。

      フロアに空気を多く入れる事が出来るのが問題点の一つ、他のカテゴリーは前からは空気を大量に入れないので停滞自体がほぼ起きないです。

      • mach がコメント

        2022-06-25 05:51

        回答いただきまして、ありがとうございます。
        他のカテゴリーとは構造がちがうとは、知りませんでした。
        空力って、当たり前ですが、こっちが良ければこっちが立たずで奥が深いですね。
        風洞でいい結果が出ても、リアルではダメなんて事が普通に起こりますし。
        ニューウェイ先生には、頭が上がりませんね。
        今後とも宜しくお願いします。
        技術確認や勉強に活用させて頂きます。

      • マクラーレンTAGポルシェターボ がコメント

        2022-06-25 05:54

        失礼します。
        似て非なるF1とインディーカーは、何かと比較されていますね。
        ここ最近はインディーカーを見ていないのですが、
        良く見ていた頃(かなり昔になってしまうのですが)のインディーカーマシンは、オーバルコース仕様(インディー500を代表とする)とテクニカルサーキット仕様(市街地コースも含めて)の2種類を備えている印象がありますね。
        フロントウイングのフラップエレメントがオーバルコース仕様は平板1枚だけに対してテクニカルサーキット仕様は複数でサイドフラップも付いている?
        リヤウイングもオーバルコース仕様は高さが低くてフラップエレメントもシンプル?
        車体モノコックとサイドポッド自体は共通と思いますが?
        F1ではフロントウイングのフラップ枚数が最大4枚までと決められているので枚数変更は出来ないですが(減らす分にはOKかと思う)
        燃料に関しては、昔からアルコール系を使って来たインディーカーの方が先輩で実績ありますね。笑
        インディーカーは、ツインターボでVバンク外側に左右で各1セットのターボユニット配置になっているけれどサイドポッドのベンチュリー構造に干渉しないのか?と思ったりしました。
        その点F1カーは、シングルターボでVバンク間レイアウトの上方排気なのでサイドポッド空間を確保出来る?

  • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

    2022-06-25 06:27

    記事内容と違いすぎる話題は、なんでもコメントページへお願いします。

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