フェラーリのパワーの謎に迫る。この関連の記事は3度目になるだろうか?ハンガリーGPのFP1におけるターン11の動画を読者様より教えて頂いたので見てほしい。
ウェイストゲートバルブ(排気ガスの一部を分流させることによりタービンへの流入量を調節するバルブ機構)が開いているであろうエキゾーストサウンドに注目です。
ハンガロリンク・ターン11
ハンガロリンク・ターン11動画
このチャンネルの投稿にはフェラーリのみの動画もあるが、全マシンとの比較ができるこちらの動画の方が違いがわかりやすい。フェラーリの通過シーンは6:38、7:02、8:07などです。
ワークスフェラーリのみがターン11の立ち上がりにおいて、ウェストゲートバルブを思いっ切り開けているような「プシャーーーーーーー」という音を奏でている。通常ターボエンジンは加速時にタービンを回すために排気圧を抜くような事はしないはずなのに。
6速で進入して立ち上がって7速に上げる。他のマシンは「パァーーーーン!パァーーーーン!」とギアを上げている音の継ぎ目があるのだけど、フェラーリのそれはあまりわからない。
ホンダのアクセルを抜いた時であろう「ブロ・ロ・ロ・ロ・ロ」というサウンドも気になるところだ。
ハンガロリンク・ターン11の速度と回転数
F1アプリのデータよりグラフを作ってみました。ターン11のボトムスピード付近よりターン12手前で減速したところまで、使用データはFP1ではなくFP3のベストタイム記録時のものです。
スピードテレメトリーグラフ
回転数(rpm)テレメトリーグラフ
データ解析のポイント
ベッテルとボッタスはターン11の進入においてボトムスピードから綺麗に加速体制に入るのに対して、ガスリーは若干速度を落とす。マグヌッセンに至ってはボトムスピードの位置が深くてスピードをかなり落としている。
この高速コーナーにおいての各マシンの差が、よくわかるスピード曲線になっていると思う。
フェラーリはホッケンハイムのパラボリカでも見られた、6速⇒7速に上げるタイミングからの速度の伸びがやっぱり凄いですね。このデータとあの音を組み合わせて想像するとどうでしょう?私の仮説にかなり近づいてきたと感じられませんか?
- Kは全開稼働をして、タービンは排気を抜く、コンプレッサーはHによるEブーストに依存する。
- ESはK(163ps)とH(ブースト)に同時にエネルギーを供給する事で可能となる。
ちょっとしつこいですね(笑)
本当の事はジャーナリストの方々に後は委ねよう。彼らの取材に期待しつつベルギーGPとイタリアGPの戦況を見守ります。
ホンダのアクセルオフ時だと思われるサウンドは、私の今の知識ではわからない。Kのブレーキング回生エネルギーをHに送り、Hが回転⇒回生を繰り返す時にエキゾーストサウンドになんらかの影響を与えるのだろうか?読者様のコメントではわざと不等長タコ足にしているのではないかという仮説もある。
謎すぎる音ですね。
色々考察してみましたが、とても小さいエキゾーストハウジングを使っているという事しか自分の小さい脳みそを駆使した理論には当てはまりません。
小さい事によるメリットはタービンの立ち上がりが早くなる=目標回転数125000回転に到達するのが早くなる=タービンが小型軽量になるのでEブーストの使用時間が短くなる=MGU-Hによる発電時間が長くなる=デプロイ時間が長くなる=ウエストゲートから排気を捨てる量が増える
これにプラスしてコンプレッサーを大きくする=125000回転といったターボにとっては低い回転でも風量を稼げる=コンプレッサーブレードは重くなるが125000回転という高回転が使用できるのとモーターの特性上、起動時が最もパワーがあるのでEブーストでの助走が付きやすい。
125000回転はモーターとしては非常に高い回転数でありそれを常用するのは困難なようです。もしかしたら他社はもう少し低い回転で使用しているのかも知れません。
では他社との違いは?となりますが・・・・
MHU-Hの回転数(例えば108000回転とします) ICEの熱エネルギーに対して108000回転に最も効率良く到達できるようにタービンハウジングを設定=排気を無駄なく使うためエキゾーストハウジングが大きめ=低回転ではタービンを回すエネルギーが少ない=ウエストゲートからの排気の開放は少ない=タービンの立ち上がりが遅いのはEブーストで補助=補助の時間が長くなるので上記と比較して回生量は少なくなる=1周あたりのデプロイが減る
タービンの回転数が低いので風量が稼げない=コンプレッサーを大きくしたいが重さとスペースのバランスが取れなくなる=上記と比較してパワーが劣る。
補足・ブースト=電圧、風量=電流と考えます。静電気は1万Vぐらいだそうですが「バチッ」っとなっても死なないのは電流が低いからだそうですね。ターボも同じでブーストを上げれば瞬間的なパワーが出ますが風量が無いとパワーが持続されません。
誰か正解を教えて下さい。
正解だったらサクラで雇ってもらおうかしらん笑
タービンが小さいとの考えもアリですね。ブースト圧に頼らずに空気量を上げるコンプレッサーの大型化。
マスダンパーさんが以前にコメントしていたいわゆるハイフロー型と言われるものですね。
ホンダが16⇒17年おこなったタービンの大型化に相反するような設定になりそうですが、これはこれで可能性ありそうな事。
エンジン側からすれば排気における、流速は上がる(低回転域トルクの向上)、流量の増加(高回転域のパワー)はウェイストゲートの解放で補うって事になる。
ワークスほどではないがパワーアップしているカスタマーはこの音を発していないのが気がかりな事ですが。
フェラーリはICEの限界値まで開発が進んでいたからこそ、新たな技術が身を結んでいる。ホンダはこの謎を解明するための研究も必要になる。
大丈夫なんだろうか?!
ホンダが16→17年におこなったタービンの大型化はコンプレッサーも大きくなっていたと思います。ICEのエネルギー効率が上がって排気エネルギーが小さくなると小さいタービンになっていくと思いますので、ある程度のハイフロー化はどのPUも進んでいる気がします。
同じタービンブレードでもタービンハウジングのサイズの選択でターボの目標回転数に到達するタイミングが変えられるのでワークスとカスタマーではそのあたりが違うのかも知れません。ハウジングを大きくすればタービンの排気通過面積が増えるのでウエストゲートの開放量が減ります。
でも回転数などの技術的限界は現場の人にしか分からないし、タービンとコンプレッサーの相関関係の理論はターボを扱った事がある人なら知ってる事なのでドヤ顔で語ると笑われそう笑
考え過ぎてお昼に寝られません。
最近のターボは本当に難しいですね。
組み合わせも無限大かぁ…。
なんとなく概念理解だけでもいいかなって思ってしまいます。F1のこれらのパーツは絶対にお目にかかれないですし、外見のカバーのみで想像して悶々としましょうかw
ホンダPUのアクセルを抜いた時の音は、アイドリング時にもやっている…気筒休止システムと関係あるんですかね?。
アクセルオフ時は燃料もカットされるから気筒休止する必要がないですよね。
あのボクサーサウンド的な音はやっぱりタコ足(エキゾーストマニホールド)が等長ではないための排気干渉なのかな。
おふたりの会話には高度すぎて付いていけませんが、その後調べたらスペインの
プレシーズンテストから同様の音を発していました。(これに気づいていた日本の
ジャーナリストはおられたのか、ちょっと気になります。)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=UW91_eqQRR0
あと例のステアリングにつけられたパドルがこの機構に絡んでいる感じがします。
「しかしこのフェラーリの”秘密のパドル”は、コーナーの途中で何らかのセッティングを変更することと関連しているのではないかという疑念を払拭することはできない。ディファレンシャルギヤやエンジンマッピング、そしてエネルギーのコントロールなどが、これに当たると考えられる。なぜならこのパドルの位置は、ステアリングを回転させた際にも使いやすいように考えられているように見えるからだ。
また、このパドルには回転を検知するセンサーが取り付けられているようだ。そのため、単にスイッチをオン/オフするだけではなく、段階的に調整できるようになっていると推測できる。」
https://jp.motorsport.com/f1/news/F1-Ferrari-secret-third-paddle-1029564/3063443/?nrt=54
本当だプレシーズンテストで既に鳴ってますね。
これを話題にしてこなかったジャーナリストは何してたんだ!
熟成に時間がかかり大幅なパワーアップを果たしたのが最近となるのかな。
ドライバーがレース中調整できるのは、デフの設定、エンジンモードの切り替えぐらい。
ステアリングをきった状態でレバーを使いたい。
ウェイストゲート排気の噴流「ふんりゅう」(ジェット)を利用していると仮定すると
1.噴流が周りの空気の流速を上げる事でリアウィング下面とディフィーザー上面の流速アップによるダウンフォースの発生。コーナー立ち上がりで一番音が大きいからトラクションに貢献する。ウェイストゲートパイプをリアウィングに近づけるテストをしている事からもこれが一番有力か。
2.排気抵抗の低減によるエンジンの出力アップ(これは2次的なものだったが意外に効果が大きい事がわかった?)
3.噴流がジェット推進力となりマシンを加速させる。(ここまでくるとそんな訳ないだろとなりそうだけど?w ジェット推進力に詳しい方がいれば教えて頂きたい。)
はじめまして。
いつも楽しく読ませていただいております。
utchy(うっちー)といいます。
素人考えですが、フェラーリのことですから、当然効率最優先でウェストゲート作動させているという前提で書きます。
的外れかもしれませんが、ご容赦くださいませ。
コーナー立ち上がり、Kは停止状態から、ウエストゲート開放とともにKが作動。
管理人様の”ドライバーがアクセル調整しているコーナリング中に稼働させれば0回転から最大トルクが発生するモーターの特性により瞬く間にホイルスピンしてしまうだろう”の通り、コーナー回ったあとにブーストからKへ変換だと思います。
その後、ブーストはついてくると思ってます。
Eブーストを使っているかは不明。
では何故ゲートバルブを開けるのか?
Kが作動した直後のタービンの排気抵抗対策ではないかと。
言い方を変えればこれがタービンの保護、というかK作動開始直後では、過給機含むICEが排気抵抗のため100%の仕事ができない状態ではないかと思います。
ただし、これがフェラーリの250km/h前後からの加速に影響を与えているかは不明で、原因がゲート開放だとしたら、他メーカーも真似しそうなので他メーカーの動向に注目したいと思っています。
どちらにしてもモーターって、吸気も排気も無関係というところが今更ながら恐ろしいです。
タービンはウェイストゲートを多少開けた状態でもブースト維持が出来ているとの事ですね。
面白い設定だと思います。
私もわからない疑問点が一つあるんです。この音を発するのは全てのストレートではないという事。
全てのストレートで出来ない理由はデプロイの関係と考えるのが妥当かと。
そして切り替えが可能となるので、両面からブースト維持ができる柔軟性があるという事です。
管理人さんの指摘通り、メルセデスもフェラーリも現状のレギュレーションからはICEで絞り出せるパワーは限界に近づいていると私も考えています。フェラーリだけがESを2個(2系統)装備している理由も、熱効率向上に伴う回生量の低下を補うためのシステムと考えるのが妥当でしょうね。今回のハンガロリンク動画では、あきらかにフェラーリはブーストを抜いていますね。しかも、少しでもブーストがほしいエイペックス付近で。EブーストはPUマニファクチャラーでは常識でしょうが、フェラーリの使い方は斬新というか、FIAも検査するわけですね。Hと繋がっているESの働きが気になります。
今年の日本グランプリで観戦してフェラーリワークスだけこの音なんで気になり検索したらこのサイト来ました。
シケインで観てましたけど、立ち上がりから直ぐじゃなくDRSポイントぐらいからこの音してましたよ。
あれはウエストゲートの音なんですね、生で聴くとなかなかいいサウンドでした。
素人感覚です(笑)
初コメントありがとうございます。
もしもこのコメント返しを見ていただけたらで結構です。
おひとつ質問がありますが、あの音はレース中も延々と鳴っていたでしょうか?
予選のアタックラップかレースロングランの違いが知りたいです。
よろしくお願い申し上げます。
最終コーナーでは予選も決勝も両方なってました。
フリーでA1席で見た時一瞬なってました(エンジン壊れたかと思いました)。
デグナー立ち上がり立体交差らへんでもなりました。
あけましておめでとうございます。いつもTwitterでお世話になっております。
2018年半ばの記事で申し訳ないですが、初コメントさせていただきます。
コメントの内容が高度すぎてついていけませんが、私は今までずっとHondaPUの排気音は気筒休止音だと思っていましたが、マニホールドの排気干渉と聞いて妙になるほどと納得してしまいました。
そして聞き比べて気がついたのですが、この「ブロロ」はHondaほど荒くはないもののMercedes PUにもある気がします。HondaはMercedes方式を採用していると聞くのでそれとも関係があるのかなーなんていう素人考えです。
こちらこそ、宜しくお願いします。
私にはエキゾーストを見ただけで、長さの違いが判りませんがコメントをくれる読者様の見解では、
等長になっていないとの事ですね。
ちょっと昔のSUBARUの水平対向エンジンは等長ではない事であの「ブロロロ・・。」サウンドが強かったと話に聞きました。
と考えればHONDAのあの音は等長ではない事からくるものだと推測できます。
気筒休止はあくまで停止中の設定でしょうね。走路での点火カットは意図的なトラクションコントロールとなる。アクセル開度とトルクの増加は完全に比例する必要があるからです。
気筒休止というのは基本的にはバルブタイミングの変更が伴う物ですので停車中とはいえレギュレーションに抵触するのでは?と僕は思っています。それにシリンダー内の温度変化が大きくなりますし、気筒間の温度差も大きくなるので熱膨張率の適正値の許容範囲が狭いレーシングエンジンには向かないとも思います。
以前に気になってアイドリングの回転数を調べてみたのですが、PU4社中ホンダが一番低い回転数で回っていたと思います。作用角が大きくオーバーラップもそれなりにあるカムシャフトの場合、アイドリングが低いとどうしても回転に「ムラ」は出ますし、音を聞く限りもそういった音に聞こえます。
不等長のマニを使うメリットとして、タービンに排気を強く当てる事ができると言うのがあります。通常、アクセルオフ時には燃料がカットされますが、エンジンブレーキの効きを調整する為に多少の燃料を噴射する事がレギュレーションで許されています。それを利用してアクセルオフ時にもタービンを回してやろうという狙いもあると思います。で、等長だと弱い力で断続的な排気がタービンに当たりますが、不等長であれば「ふっ」と息を吹きかけるような強い力で短時間でタービンを強く回す事ができます。
F1のPUは短時間で色んな事が行われるのでタービンの回転を一気に立ち上げる事が有利なんだうろなと思います。
まあ、あくまでも外野の想像の域を出ませんが。
スバルの純正の不等長マニも同じ事を狙った物だったと開発者のコメントを読んだ記憶があります。水平対向のマニの取り回し上どうしても長くなってしまいタービンに届く前に温度が下がりエネルギーが小さくなってしまうのを補う為とコメントされていたと思います。
先週のオーストラリアGPのFP及び予選でターン13で見ていたのですがメルセデスだけがシフトダウンの後加速に移るとき、ひときわ甲高い音で他車明らかに違う音で、不思議に思っていましたが、先に書かれているようにウェストゲートの音かもしれないと思いだしました。レース中はターン12の全開セクションなので音の違いは判りませんでした。全車ターン11の立ち上がりはNAとは全く違う音で、MGU-Kがサポートしている音と勝手に判断していました。
ウェイストゲートは基本的にタービンに掛かり過ぎた排圧を抜くものです。
ここ数年加速ポイントにおいて、徐々に聞こえるようになってきました。
お陰で静か静かと言われていましたが、結構いい音が出るようになっています。
開発によりタービン排圧の上昇が、まず上げられます。
もし仮に、完全開放して排圧を減らしパワーアップをしていると言うところに、ターボエンジンの新たな技術の可能性を感じる次第です。