WECポルシェ919 Hybrid Evoのニュルブルクリンクのアタックラップオンボード動画を見た人は多いだろう。
ポルシェの公式動画にはギア、スピード、エンジン回転数、アクセル、ブレーキそしてブーストの使用を示す黄色のゲージを見る事ができる。
ポルシェ919 Hybrid Evo ニュルブルクリンクレコードラップ
BOOSTの黄色のゲージとその時の音に注目してもらいたい。モーター特有の高周波音が「ヒュイーーーン」と聞こえるはずだ。ある程度の車速が出ると停止して音も無くなる。
このブーストとは400psの駆動用MGU-Kを使用した時の音だろう。
2.45~では7速315km/hで回転数が7,000rpm超えているがブーストを起動して加速している。エンジンパワーが最高点に達している状態でKを起動する事によって加速しているのがわかる。
ポルシェは音声マイクがコクピット内で、フロントアクスルにある駆動用モーター音しか聞こえない事から非常にわかりやすい。
2018年ドイツGPポールラップ
今年のフェラーリはコーナーからの立ち上がりで似たような音が7速に入れるまで聞こえる。
MGU-H?MGU-K?これはどっちの音だろうか?たぶんHの音だと思う。マイクはエキゾーストの近くにあるが、エンジンブロックの下で前寄りにあるKの音はここまではっきりと変化が聞こえないと思う。
2017年ハンガリーGPポールラップ
昨年のフェラーリではこの音は全く聞こえないんですよね。
そしてF1テクニカルネットには、ドイツGPポールラップのテレメトリー付き動画があるので見てもらいたい。
https://www.f1technical.net/forum/viewtopic.php?f=4&t=21958&start=2535
上記ページの上から4番目の投稿です。
インフィールドセクションでアクセル全開ではないのに、このモーター音が大きいポイントがある。そして5速で速度調整する最終コーナーではほとんど聞こえない。よってフェラーリのはMGU-Hの音だろうと思う。
※18.9.1追記:やっぱりMGU-Kの音?
イタリアGPのモーター音聞いていたらMGU-Kかもって思い始めました。モーターの回転数による音の違いが分かる方っていらっしゃらないかしら?
ちょと調べるのに時間かかりそうですが頑張ってみます。
ブレーキング時の微妙なアクセルオンで回生?
ちょっと気になるところがあるんです。
ターン2、8、13のブレーキングではアクセル開度を示す緑のゲージが少し残っているが、ターン6のヘアピンでは完全にアクセルオフとなっている。
ブレーキング中はスピードを落としたいから、アクセルオンで推進力が出てしまっては困るだろう。もしや回生している?
- 排気が出てタービンが回る⇒Hで回生
- クランクシャフトも回る⇒Kで回生
ホンダも行っているKのアクセルオン時の回生、これを多用すると燃費が悪くなると言っていた。予選だから燃料を気にせず電気エネルギーに変換する事ができる。
加速時にKで回生する事は、抵抗となりコンマ何秒を争う予選では使用できない。Hも回生すれば排気抵抗を増やす事になる。ブレーキング時にこれを行う事は理にかなっていると思う。
エンジンの回転におけるトルク要求では、レギュレーションでアクセルペダル位置の増加に対して単調に増加しなければならない。(発電状態を作り出すエンジン回転数は自動化できない。)
このモードが常に行われては困るコーナーも存在するし、決勝においては柔軟に対応したいはず、そこで登場するのが例のステアリングにあるレバーかな?モードを瞬時に切り替えれる可能性がある。
まぁこれも仮説にすぎませんけどね。
NAエンジンでもコーナー中にアクセルとブレーキ両方踏む事はありますが、ターボエンジンの場合は特にコーナーでアクセルを閉じるとターボの回転数が落ちてしまい、コーナーの立ち上がりで俊敏な加速が出来なくなるので意図的にスロットルをあける事があります。ただ極低速だと余りにターボの回転が上がり過ぎてしまうと唐突に加速しホイールスピンに繋がるのでやらない方が良い場合もありますね。
また減速方向にマシンが力が加わっている場合の時にアクセルを踏むと無負荷で踏むより負荷が掛かり排気ガスが増えますのでよりターボを回す力が増えます。
なのでどちらかと言えば回生というよりはターボの回転を上げる事に使用しているのかなと思いました。そこで電気エネルギーをMGU-Hに使わなければMGU-Kでのアシストにまわせるでしょうからダイレクトに駆動力を増やすことができそうです。
決勝時にやらないのはブレーキの負担になるのと燃費の問題とタイヤマネジメントに有利になるからな?あとはブレーキを掛けたままアクセル踏むとリヤに荷重が残せるので姿勢制御できる事とセルフトラクションコントロールの一面もありますね。
と書いてみたものの管理人様なら知ってそうな事ばかりでしたね。
あと、常々疑問に思っていたのですが、アクセルオン時にKで回生するというのはその時はブレーキも踏んでいるんですかね?K自体は運動エネルギーの回収が目的ですのでアクセルだけを踏んでKで回生ってできるのかな?って疑問でした。
Hも入力をしながら出力をするっていうのもモーターの構造からするとずっと???マークが点灯したままです笑
一つのモーターの中にコミュテータとブラシが2対あってそれに対してローターも2対あるのかな???それなら入力しながら出力できるけど・・・・。そもそもブラシモーターなのか?っていうのも疑問ですが。。。。
加速時にKで回生する事は、抵抗となりコンマ何秒を争う予選では使用できないのに予選だから燃料を気にせず電気エネルギーに変換する事ができる。っていうのも僕のチワワサイズの脳では未だに処理ができません笑
ブレーキング中のアクセルオンは、普通に考えればターボラグの抑制と荷重移動に伴う姿勢制御ですよね。
フェラーリのデプロイが良いという事なので、ラップタイムに影響がないポイントで回生していると仮定して、勘ぐってみました。
モーターは多分交流です。プリウスと同じと思っています。Kはクランクに固定され常に回っていますので、コントロールユニットで+-を入れ替える事で簡単に出力と発電を切り替える事が出来ます。(交流モーターの制御については色々調べているのですが、ハイブリッド車の核たる部分のため極秘事項な事でしょう。なかなか自分の理解できる説明にたどり着いていません。)
アクセルオンでエンジンを回す事は運動エネルギーを発生している事に同意です。それが路面に伝わる前に回生できるのです。Kの回生は減速時に限るとの規制はありません。
運動エネルギーは全てトルク(回転する力)と考えると想像しやすいと思う。クランクを回すのはトルク、ドライブシャフトを回すのはトルク、タイヤを回すのはトルクです。そしてモーターを回すのもトルクですね。
ブレーキング回生とは、リアタイヤに蓄えられたトルクをKを回す力に変換する事、よってリアタイヤの回転速度が減る(回生ブレーキ)。ほとんどはブレーキディスクによる放熱でエネルギーは捨てられる事になりますけどね。
回転する力さえあればいつでも発電できると言う事になります。
エネルギーの使い方は考えれば考えるほど深みにはまりますわw
お世話になります。
utchyです。
ハイブリッドカーは一般的に3相交流モーターのようです。
但し制御はインバーターです。
PWM制御とPAM制御がありますが、一般的にはPWM制御です。
PUは特殊なので???ですが。
昇圧、降圧、回生、コンバーター、インバータすべてパワー半導体での制御のようです。
ありがとうございます。私も気になって調べました。日本語で調べてもダメだったので単純に「f1 ers」と英語で検索したところ
2014年のCE(コントロールエレクトロニクス)の概要説明を見つけましたのでどうぞご覧ください。
https://www.highpowermedia.com/F1-Monitor/3936/control-electronics-for-the-ers-k-and-the-ers-h
MGUはAC(交流)3相と書かれています。
ありがとうございます。
参考になります。
パワー半導体IGBTも取り上げられてますね。
電気回路用にサイドポッドに小型ポンプとラジエターで水冷却ですか....大変そう。
日本ガスタービン学会の2010年の講演論文でIHIが開発している電動アシストターボについての記述があります。
http://www.gtsj.org/journal/contents/journal1006.pdf
参考程度ですが優位性が示されています。
utchyです
プリウスはMGU2機積んでいます。
回生専用と駆動専用です。
当然、普通に充電と出力を同時に行なってす。
で、思いました。
PUもKとHの2つあるではないか。
貼っていただいたテレメトリーチャート見てたら、基本K回生時はH駆動、H回生時はK駆動ですね。
性懲りもなくまた考えてみました。
K
インバーター制御だからコーナー中でもスムーズに駆動可。
コーナー中は、そんなにパワー要らないですが。
チャートからも駆動立ち上げに僅かに傾斜が見られます。
H
基本、回生主体たが減速時に駆動してます。
アンチラグシステムかと。
シングルタービン仕様ですしターボラグ防止。
フェラーリステアリングレバー
パーティーモード用の一つ。
K駆動開始と段階的とのことなのでK用スロットル。
勝負時は、ドライバーが操作出来るのは大きいかと。
標準よりコーナー立ち上がり時早期K稼働で勝負。
フリー走行ではレバー操作練習中。
レギュレーション違反であればすいません。
フェラーリウェイストゲート解放
パーティーモードK駆動時で、アクセルOFFからON時のみ。
ベタ踏みのストレートよりブーストがかかりやすい。
プラスK駆動開始後も重なって普通にタービン保護。
これ考えても正解がわかる時が来る気がしないのが悲しいです。勘違いもありそうです。
説明がわかりにくかったので、もう一度まとめてみました。
モーターは電力でトルクを発生、逆に発電はトルクを消費する事で電力を発生します。
1.Kに対してトルクを発生させるのは、クランクの回転と電力を使ってKを回したトルク
2.クランクを回転させるのはピストンの燃焼とギアボックスで繋がったタイヤ
基本的にハイブリッドカーはブレーキを踏んだ時にKモーターが発電状態になりトルクを消費して電力をつくる。
アクセルを踏んでピストンの燃焼によりクランクを回したトルクを消費して発電も可能、しかしこれはマシンを前に進めるためのトルクを消費してしまう。
加速時には不利益な発電方法です。
ブレーキング時はタイヤから伝わるトルクで発電し、さらにアクセルオンする事で燃焼トルクを発生させ発電できると仮定した訳です。
微妙なアクセルオンは発電で消費できるトルクの限界値である事が必要(発電で消費できないトルクはマシンを前に進めてしまいます。)
Hも同様に稼働できます。
1.Hにトルクを発生させるのは、排気タービンの回転と電力を使ってHを回したトルク
2.排気タービンを回転させるのはピストンの燃焼で発生した排気ガス
Hの発電はタービンの回転トルクを消費する事になるので、アクセルオン時はもちろんですがアクセルオフ時にもタービンの惰性回転トルクで発電できます。
アクセルオンで燃焼によりピストンを動かせばHとKに共にトルクを供給できる、それを消費して発電する。チャージモードではこれで簡単にバッテリーを満タンにできます。
これらの発電をどこで行いどう使うかの勝負でフェラーリは一歩先に行っている事になります。
>Kのアクセルオン時の回生、これを多用すると燃費が悪くなると言っていた
これはコーナー安定域で車体を安定させるための半開アクセル、つまりパーシャルスロットル時の回生のことだと思います。
燃費が犠牲になりますが、低出力のMGU-Kでは通常のブレーキングだけで1周2MJも回生出来ないため、最もタイムロスが少ないパーシャルスロットル時に回生するわけですね。
(https://www.zf.com/japan/ja_jp/corporate/motorsports_1/tech_seminar/techseminar_vol6/techseminar_vol6.html)
フェラーリはこの辺りのマッピングが上手なのかもしれません。
V10時代の減速時のアクセルオンはTCSを起動させるためにやっていましたが、現在は可能な限り速く1周するために必要なエネルギーマネジメントの一環だと認識しています。
どれだけ有効にエネルギーを使えるか、という課題に対して、エンジニアが見つけ、ドライバーが実践することで目に見える形になっているのではないでしょうか。
あまり関係ないですが、WECはMGU-Hの搭載位置などに関連した規制がない為、F1よりも格段に高効率かつ高出力です。919HVはルマンでは全回生エネルギーのうち40%をMGUから回生していました。
(https://kyodonewsprwire.jp/release/201706022392)
減速時における駆動輪側の回生でも、MGU-Kとトランスミッションを完全同調させてギアダウン時のロスなしで回生する技術も現状トヨタの専売特許だとか。(他メーカーが駆動輪側のMGU搭載を見送った理由の一つらしい)
ESの出力もけた違いですし(今年のTS050のバッテリーは作動温度95℃、出力300kw。短時間なら100℃でも作動するとか…)、F1のPUってなんか中途半端だなぁと最近感じています。
おっしゃる通りブレーキング時間が短くなってしまったために120kwのMGU-Kでは役不足だと感じます。
電動ターボと排気回生に特化したレギュレーションである事はご承知の通りです。
となれば車を前に進めるところで回生するしかないのは明白です。タイムに影響しないポイントでの回生をいかに効率よく行えるかの勝負ですね。
また、予選と決勝での燃料の使い方が正反対であり、そのどちらにも対応できるPUなのがフェラーリやメルセデスであると思います。
極端に言えば予選はリッチ、決勝はリーンです。
フェラーリの優位性は燃料にあると、海外ジャーナリストが掴んだようです。われわれ素人には分析しがたい領域ですけど、排気パワーを上げてタービンやMGU-Hの効率を上げていると仮定できます。