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F1のギアボックスは8速シームレスシフトを採用している。ギア比はファイナルに至るまで年間固定であり、シーズン中に変更する事はできない。全サーキットをシミュレートして最適のギア比を選択する必要があり、ギアボックスは土日に限り6戦続けて使用できなければ、5グリッドの降格ペナルティとなる。

現在のF1においてギアボックスはパワーユニットとセットで供給するのがカスタマーの定番となっており、レーシングポイントはメルセデス製、ハースとアルファロメオはフェラーリ製となる。レッドブルとトロロッソはギアボックスカートリッジがRBテクノロジー製でケーシングは各チームで製造している。ルノー、マクラーレン、ウィリアムズは全て自社製という事になっている。

ケーシングを含めギアボックスは、マシン後方の骨格でありホイールベースに影響を与え、強度や柔軟性が非常に重要となる。パワーユニットを製造するワークスが有利な訳は、このような部分でも表れコンマ何秒の差になっていく。

前置きはこのぐらいにしてイタリアGPで記録された回転数と速度を解析していきましょう。

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各ギアの最高回転数と速度比較

2019-ITA ギア 1(S) 1 2 3 4 5 6 7 8 8(F)
メルセデス rpm 9605 12049 12000 11894 11797 11666 11910 11871 11887 12538
km/h 0 102 129 162 187 212 252 291 330 348
フェラーリ rpm 8955 12019 11281 11525 11623 11623 11615 11624 11986 13108
km/h 0 100 128 149 180 212 251 284 330 365
レッドブル rpm 11739 11309 12116 11937 11777 11630 11643 11506 11887 12895
km/h 0 101 123 160 181 221 252 283 330 357
ルノー rpm 11195 11090 11828 11532 11621 11561 11893 11778 11569 12233
km/h 0 91 124 157 180 221 269 305 330 350
マクラーレン rpm 10455 10737 11585 11181 11804 11847 11643 11761 11918 12532
km/h 0 92 115 157 189 220 250 287 330 358
トロロッソ rpm 11087 12026 12485 11840 11885 11376 11415 11650 11970 12810
km/h 0 84 123 149 187 219 245 285 330 356
ウィリアムズ rpm 9879 12046 12475 12360 12050 12132 12004 11637 11883 12421
km/h 0 104 133 164 195 231 263 287 330 346

1・2速はイタリアGP決勝スタートのクラッチミート前とギアアップ時、3・4・5・6・7は予選のギアアップ時、8速最高速は決勝ベストスピードトラップ記録時のものです。最高速度はスピードトラップよりも先の位置で記録されるため、スピードトラップを上回ります。

1・2・3速はホイールスピンなどの要素が絡むので正確とは言えません。第1シケインは2速、第2シケインは3速を使っています。(ハミルトンは第1シケインも3速)

これでは非常にわかりにくいので各ギアの回転数を11,500rpm付近に揃えてみました。

2019-ITA ギア 1(S) 1 2 3 4 5 6 7 8 8
メルセデス rpm 9605 12049 12000 11562 11353 11522 11516 11548 11508 12538
km/h 0 102 129 148 180 206 242 282 317 348
フェラーリ rpm 8955 12019 11281 11525 11504 11512 11506 11511 11516 13108
km/h 0 100 128 149 175 204 246 280 316 365
レッドブル rpm 11739 11309 11732 11614 11458 11525 11502 11546 11506 12895
km/h 0 101 109 143 174 216 249 279 319 357
ルノー rpm 11195 11090 11565 11532 11496 11527 11445 11522 11502 12233
km/h 0 91 119 157 186 219 260 299 329 350
マクラーレン rpm 10455 10737 10934 11399 11582 11503 11475 11506 11507 12532
km/h 0 92 111 147 181 212 244 281 320 358
トロロッソ rpm 11087 12026 11434 11397 11571 11458 11539 11502 11523 12810
km/h 0 84 110 147 169 218 250 284 316 356
ウィリアムズ rpm 9879 12046 11435 11596 11517 11553 11524 11446 11516 12421
km/h 0 104 120 154 181 215 251 285 320 346

1・2速は11,500rpm付近の回転数が不明な部分が多いです。特にフェラーリやメルセデスは回転数が一気の飛んでいく、F1アプリテレメトリー表示の限界かな;;

各チームのギア比に対する解析(感覚的にw)

際立っているのがルノーですね、4速以上のギア比が高く、6速以上では明らかに高い設定です。7速11,500rpmで約300km/hの速度に達します。

レッドブルは3速までが低め設定、トロロッソは4速まで低め設定となり同じホンダPU、同じギア製造でも違いがあるのがわかります。トロロッソの1速の回転数に対する速度が異常に低いですが、ホイールスピンかな?ちょっとわからないですがかなり低い設定であるような気がします。

スタートがしっくりこないといつも困っているフェルスタッペンですが、クラッチミートまでの待機回転数が異常に高いんですよね、低回転域のトルクが足り無さそうな予感です。特にスタートは100km/hに達するまではMGU-Kのパワーを使えずエンジントルクを補助する事ができない。

ホンダがスペックアップする度に実用トルクの発生回転数が高まっているような気がする、昔っからホンダは高回転でブン回してパワーを絞り出すようなイメージが強い、結局そういう方向性なのかな?

ドライバーの能力でなんとかなってしまう部分でもあり、ドライバーは高回転域のパワーが無いと納得しない。まぁとにかくパワーを出す事が重要だよね。それで壊れても、壊れない対策をその後講じればいい、出せないよりは出せる技術がある事の方がワクワクします。(そんな時代じゃないって?w)

 

ルノーは逆に低回転域でトルクを出す感じ、ターボエンジンの常套手段的な感じですかね。回転数ではなく過給圧でパワーを出していく感覚。メルセデスやフェラーリはそれを両立している。

メルセデスがフェラーリを抜けななかった理由はこの最高速でわかります、完璧にトウを捉えてDRSを開いていても348km/hしかでないドラッギーなマシンなんです。リアウィングをあれ以上寝かせられない理由はフロントとのバランスが取れないからで、フロントウィングを寝かせるとマシン全体の気流が変わりどうにもならなくなるのだろう。

ホンダスペック4のリミッター制御

ホンダPUはイタリアで回転数リミッターが12,500rpm付近で発生してしまい、その時にスロットルを踏み続けるとリミッター制御をトラクションコントロールと誤認してFIAのシステムがエンジンコントロールを一定時間受け付けない事態が起こった。

決勝においてフェルスタッペンは、Lap22のホームストレートでトウを完璧にとらえて8速12,895rpm(357km/h)を記録している。回転数が12,500rpmを超えたのはこの一度きり、その後は12,300rpmまでしか回さないように走っていた。これはアルボンも同様でクビアトはLap5で8速12,810rpm(356km/h)を記録した後は回転数を抑えている。

 

ただこれをセッティング不良と言っていいのかわからない、一度そう思ったのは確かですが、もしかしてスペック4エンジンのおいしい部分を保護するための策だった可能性も捨てきれない。

スペック4はまだまだマッピングが完璧ではありません、そしてモービルの新燃料は開発が上手くいっていないようだ、鈴鹿までに間に合うのだろうか?期待しよう。

本当のトップパワーを発揮するようになった時こそ、

声高らかに「POWERED by HONDA」と叫びたいです。