2017年より始まった新規則では、マシンが低くよりワイドになって昔のカッコ良さを取り戻しました。
規則の抜け穴をついたTウィングが登場したりと、色々な部分での空力パーツの開発競争は見ごたえある2017年だったと思います。
ホイールベースやレーキ角セッティングなど、マシンの根本的な部分での正解はなんだったのか?2年目の今年は正解にたどり着けるマシンがあるのか?注目すべき点になります。
※F1空力学についてのコメントのやり取りが非常に有意義な事になっています。是非ご一読を!
コメントして下さった皆さん。本当にありがとう!
2018年のマシンにおける注目点
- ホイールベース
- レーキ角セッティング
- Tウィングなどの規則の抜け穴
ホイールベースの長さ
空気抵抗が少ないフロア下でのダウンフォース発生量を増やすために、ホイールベースを延長するチームがありました。その中でメルセデスは一番長く3,760mmだった。
ホイールベースの延長は、ディフューザーの拡大に伴い効果が増加、高速サーキットでは無類の強さを発揮したが、機械的な部分で最小回転半径が大きくなり低速コーナー、特に市街地戦では苦戦している。
マシンが熟成されていた第14戦シンガポールでは、メルセデスはフェラーリとレッドブルに予選タイムで負けていた、2番目に長いフェースインディアも下位に沈んでいるところからも長い事での不利はやはり存在すると思われる。
レーキ角セッティング
レーキ角セッティングはレッドブルのエイドリアン・ニューウェイが考案したマシンセッティングで、車体全体を前傾姿勢に傾ける事でフロントウィングを路面に近づけてグランドエフェクト効果によりダウンフォースを獲得する。
加えてディフューザーの効果も高まり、フロア下の空気を後ろに速く抜く効果が得られる。これによりグランドエフェクト効果を高めダウンンフォースが多くなる。
副作用として高レーキ角にしすぎるとマシン全体の前面投影面積が増えるため空気抵抗が増える。よって最初から決まった角度にてマシン設計し、できるだけ空気抵抗を減らす工夫が必要になってくる。
⇩2018年4月に新たな考察をしました。
レーキ角とフロアでのダウンフォースについての考察Part.2
Tウィングなどの規則の抜け穴
オートスポーツの記事に2018年度のマシン設計に対する抜け穴が存在するとの記載がありました。上図の赤丸で囲った位置です。
T-wing loophole creates new tech battleground for 2018 F1 season
この部分は2017年にウィリアムズが小さなウィング状の空力パーツを付けていたところです。
Tウィングの下にある事からも下段Tウィングなんて呼び方もされていたパーツですが、ウィリアムズ以外は使っていませんでした。
何か利点があれば間違いなく何らかのパーツを、各チーム投入していく事が予想されます。全体の見た目上、目立つ部分ではないのでFIAも容認しそうな小さな領域ですけど。
まとめ
メルセデスが示したフロアの長さを生かしたグランドエフェクト効果の優位性、レッドブルやフェラーリが示した高レーキ角での優位性、この二つを融合したものが今年体現されると期待しています。
今のところ出ている推測情報ではメルセデスがレーキ角を上げる、フェラーリは60mmホイールベースを延長するといったところです。
長すぎるホイールベースは高レーキ角セッティングとの相性が悪いと私は思っています。加えてマシンの最低重量規定への対応も考えると、メルセデスは少しばかり短くしてくると予想しています。
マシンの発表やテスト走行まで、とうとう1か月をきりました。
さーて2018年のF1はもうすぐ始まりますよ!
ダウンフォースを得るにはグラウンドエフェクトによってフロア下を低圧にすることですが、なんか説明文がミスマッチしているように思います。
フロア下には出来るだけ空気を入れたくない、入ってもすぐに圧力を逃がすための高レーキ角なので、フロア先端の空気を切り裂く場所に角度をつけて、ゆっくり空気を逃がす(圧力を下げる)ですよ。
あ、コメ書いてて分かったw
速さと圧力で書かない方が良いかと
ご指摘ありがとうございます。
理解度に欠けていました、申し訳ありません;;
ご理解いただけたなら幸いです。
レーキ角度とホイールベースを課題にしていらっしゃるのは、とても重要な着目点だと思いますし、感心しております。
このサイト大好きなので、引き続きよろしく願いしますw
引用=「フロア先端の空気を切り裂く場所に角度をつけて、ゆっくり空気を逃がす(圧力を下げる)ですよ。」
一般的な、ベルヌーイの定理(流体の速度が上がれば圧力は下がる)を使った、レース界用語=グランドエフェクト効果(ベンチュリー効果)の説明としては、管理人さんの表現が合っている?
皆さん、詳しい方が多くてコメント楽しいですね!
グランドエフェクト効果は、二種類あって
フロアに空気を入れないで負圧を作る方法、
フロアの流速を上げて負圧を作る方法とあるので
通常はフロア下に空気を入れたく無い所ですが、現在の方法は、積極的に空気を取り入れてディフューザー等を使って上手に逃していく考え方が主流です。
フロアの角度だけではなく、フロアの形状、ディフューザーの形と場所、他にフロアのスリット形状も空気をどう逃しているのか興味深々で大好きな話題なので、管理人様の今年のコメント期待してます。
色々な見解ありがとうございます。
空力太郎さんうまくまとめて下さって感謝します。
一般車のフロントスポイラーはまさに空気の流入を防ぐ手段をとっていますね。
私もまだまだ、これだと言える空力知識に欠けているようです。
今後ともコメントにて宜しくご指導お願い致します。
今年の流行のレーキは、ベルヌーイの定理では説明できません。
元々この定理は、気圧の差から起こる、揚力を説明するのに、ベルルヌーイが利用した物で。同一空間(翼の上と下)の気圧の差を埋め合わせるために、薄い空気が早く動くのを、原因と結果を反対にして説明したが物です。空気の密度が同じなら、速度によって圧力は変わりません。1気圧の空気を、如何するか分かりませんが、1気圧の空間で仮に10m/sで動かしたら、密度が下がらないと動けないので、密度が下がり気圧が下がります。
グランドエフェクトの効果は、フロアー下の空気の入り口を狭くし、出口を広くすると、フロアー下に気圧の差が生じ、結果空気が入り口から出口へ流ます。気圧差が大きければ大きいほど、この流れが速くなります。気圧差が生じなければ、流れは起こませんよ。
仮に今のフロアーで、入り口を広くして、出口を狭くする、逆レーキにしたら如何なると思いますか?揚力が生じて、車が木の葉のように持ち上がり、舞い上がってしまます。グランドイフェクトの基本は、如何にフロアーへの流入空気を遮り、ディフーザーでどれだけ多くの空気を引き抜くかです。ベルヌーイなんか持ち出すから、変な定説が生じているのです。あくまでも、流速は結果です。
なるほど!コメントありがとうございます。
流れが速いのは結果なのですね。
その効果を上げるために、フロントノーズ周辺から空気の流量を増やす。数年前に流行ったハイノーズはそう考えれば良いのでしょうか?
今更書き込むのもなんですけど、
YouTubeで『宇宙飛行士と考える「ベルヌーイの定理」』を見てみると分かりやすいですよ。
ハイノーズでフロア下に大量の空気を送り込むのは、フロア下に流量の多い強い気流を作り出すと、その気流が周囲の空気を一緒に動かしてさらに強い気流になるからです。
ダイソンの羽のない扇風機を見ても分かると思います。
昔は入り口を出来るだけ閉じて、出口から大量の空気を抜けば効率よく負圧を生み出せると考えていたのですが、現在では大量の空気を高速で流す方が多くのダウンフォースを生み出すと分かっています。
今ではノーズの高さと全面投影面積がレギュレーションで規定されたので、いかに多くの空気をフロア下に導くかで各チームがノーズの先端に趣向を凝らして勝負をしています。
動画の後半のピンポン玉と漏斗の実験を見てもらえば、いかにフロントウィングを下げて地上との隙間を狭くするかが重要なのかがわかります。
昔はフロントウィングを1ミリ下げれば1%フロントのダウンフォースが上がる…と言われていましたが現在も大して変わらないと思います。
ノーズが入りやすくするためにフロントの重量を軽くしながらも、ターンインやブレーキング時の為にフロントのグリップは限りなくほしい…この要求に応えるためにレーキ角をつけてフロントウィングを出来るだけ地上に近づける。
しかしレーキ角をつけすぎるとフロア下に空気が流れ込みやすくなりフロア下の気圧が維持しにくくなる。ここら辺が難しい所ですね…
わかりやすい動画ですね。
https://youtu.be/6APNDuW5WaM
教えて頂きありがとうございます。
負圧(圧力が低い)←力←正圧(圧力が低い)と言う理論がよくわかります。
ポイントしては私自身も陥った勘違い、速い風を当てるのではなく、コースに置いてある空気にマシンが当たった時どう流れを速くするのかってところでしょう。
ドイツでのウィリアムズのフロントウィングは路面から少し離し、空気の入口を大きくしていました。
それで少し改善したと、その辺りの微妙な調整が本当に難しいF1の世界といったところです。
先日のコメント誤字脱字があり、失礼しました。
図で説明した方が、分かりやすいのですが、空力(車の場合は:ダウンフォースかな)と空気抵抗の関係を文章で整理してみます。
まず風洞とコースの違いを整理してみます、風洞とコースでは物の動きが180°逆になります。
風洞では空気が流れ :コースでは空気は止まっています
風洞では車が止まり :コースでは車が動きます
この事から、大まかにコースでは空気の流れは無しが前提です。そして車が静止した空気を切り裂きながら走ると、空力効果と空気の乱れが生じ抵抗を受けます。また空気から受ける、空力効果と空気抵抗は空気の乱れにより影響を受け、乱れが大きいと空力が小さく抵抗が大きくなる傾向にあります。
これ等の効果を前提に、F1カーをフロント・サイドポンツーン周辺・リアの3つに分けて設計の要点を考えてみると
フロント:フロントウィングとフロントノーズで、所定の空力効果を得ながら、後段えの空気の乱れを最小にする。
サイドポ周り:サイドポンツーンとフロアーで、所定の空力効果を得ながら、後段への空気の乱れを少なくする。
リア:リアウィングとディフーザーで所定の空力効果を得ながら、後方の空気の乱れ(渦)を少なく小さくして、車を後方引く引張効力を減らす。
お気づきと思いますが、この様にコース上では、空気の流れは基本的に生じません、生じるのは各セクションが起こす空気の乱れです。フロント部は前に車が居ない限り、空気の乱れには影響されません。しかしサイドとリア部は、前のセクションが起こした空気の乱れの中に突っ込む形なので、乱れの大きさで空力効果とが空気抵抗大きく影響を受けます。この空気の乱れは、風洞では流れの乱れとして見えるので、スムーズに流す見たいな表現が使われ、一人歩きしていて、紛らわしいのではないでしょうか。コース上では空気は流れません、況やスムーズに後方に流すなんて事は出来ませんよ。
上手く説明できたか自信が有りませんが、長くなったのでこの辺で、終わりにします。誤字脱字はご勘弁を。
最初にレスしたものです
すみません、なんか私のレスもなんか変だなぁ(ベンチュリー効果に反する)と思ってたりしてました
ただ、高レーキ角を考えたたとき、やはり最初ドカンと空気を入れてフロアの仰角と
ディフューザーで負圧を下げていると思います。
ただしここで空気を入れすぎると揚力が発生します。
昔のグランドエフェクトカーは負圧を下げることとフロア下の面積を稼いで効果を得ていましたよね
ああ、レスよく読まないでコメ入れてました。
BL17 さんのおっしゃる通りですわ^^;
BL17さんのコメントは、ごもっともです。
名前の由来は、もしやSuperViking?
こういうコメント大好き!
今更ですが、流体力学など勉強もっとしとけば良かった(>_<)
風洞実験のコメントありがとうございます。
勉強になります。
F1の場合、レッドブルはレーキ角をつけている狙いがあって
排気も上手に利用してます。
多分、風洞実験でもレッドブル他、排気も計算に入れて利用してます。
ここからは憶測ですが、排気以外も利用して気流の乱れを制御していると考えられます。排気と温度変化、気圧や湿度まで利用した高度な制御技術をレギュレーション内で秘密裏にすすめているものと思っています。(今の所、勝手な妄想です)
参考になる記事はこちら↓
http://blog.passion55.com/archives/805
F1の空力は面白いですね。
空力太郎さん
このあたりの後方乱気流の処理ってちょっと前にNHKであった世界最速の自転車作る番組の空気抵抗モデルとか見ると単純だけど奥が深くて面白いんですよね、スポットを作っちゃダメ流さなきゃ、とか^^;
それを排気圧利用とかマジでそそられますわ
皆さまの知識の豊富さに圧倒されっぱなしな管理人です^^;
有難いコメントの数々嬉しいです。
BL17さん感謝いたします。何度も読み返して空力に対する考え方が一歩前進しました^^)
負けじと空力以外の話題を頑張っていこう思いますw
http://www.topnews.jp/2018/01/29/news/f1/166723.html
マルコ博士は策士だから、ホンダPUへの本音なのかプレッシャーをかけているだけなのか難しい所…。
でも楽しみが増えていくことは嬉しいですね。
レーキ角の副作用ですが、前面投影面積が大きくなりドラッグが増えるという部分はあまり問題視されていないように思います。フェラーリがメルセデスよりドラッギーでストレートで苦しいというような話はあまり聞きません。
空気抵抗は速度の二乗に比例するので高速になるほどドラッグの影響が大きくなりますが、高速になるほどダウンフォースも増すので、リアはサードスプリングが働く高さまで沈み込み、前面投影面積はさほど変わらないだろうと。マシン全体が可変ウィングになってるようなものですね。
私の理解では副作用はリアの車高が大きく変化する為、速度に応じてフロア下のダウンフォース量およびその重心が変化して、前後の荷重バランスを取るセッティングが難しい事にあると思っています。
今年のフェラーリの改善点は「高速コーナーでの速さ」と説明されていましたし、低レーキのメルセデスの利点が一定の安定したダウンフォースを得ることだと説明されたりするのもその為でしょう。
昔のヴェンチュリカーはサイドスカートでベンチュリー管状となった部分を覆っていたぐらいですから、単純に大きなレーキ角をつけただけではフロア全体はディフューザーの様には働かず、横から空気が入り込み大したヴェンチュリ効果は得られないかと思います。
なるほど納得な見解ありがとうございます。
リアの沈み込みによるドラッグの抑制はもっとも効果的な部分ですね。
レーキの強いチームはこの沈み込みでTトレイ先端をこすって火花出しまくってます。
リアを柔らかくする事で得られる、利益と不利益のバランスが大事ですね。
最近のフロアの切れ込み加工は、サイドスカートを空気で再現していて、
サイドポンツーン下のフロアはベンチュリー管になっているのではないかと思っています。