アンドレッティとキャデラック(GM)がパートナーシップを結びF1チームの発足を目指すとの宣言がありました。
FIAの会長スレイエム氏はこれに対して歓迎する発言をしている。
これに対してF1(FOM)は現時点で参戦を承認できるチームは無いと反論して、F1対FIAの訳の分からない舌戦展開へ。
ファンやジャーナリストはF1チームが増える、スタートグリッドのマシンが増えると早くも想像してしまい、これらの期待もこれに拍車をかけている。
何が原因なのか?
F1とFIAとチームが2021年に合意した現コンコルド協定に何かあるだろう。
コンコルド協定とは?
主には、F1とチーム間で利益分配を決める為のものです。
これには参戦に対する確約も含んでおり、現10チームは2025年末まで1戦も休むことなく参加する義務が発生しています。
罰則などは定かではありませんが、おそらく高額な罰則金が課せられるはずです。
参戦最大チーム枠は12チーム
参戦できるチーム枠は12となっています。
- 新規参戦チームに2億ドルの支払い義務
F1への貢献のない新規チームが既存のチームと同等の分配金を手にし、既存のチームの収益を減らしてしまう。
それを防ぐために、新規参戦チームがF1のグリッドに加わる場合、既存のチームにそれぞれ2,000万ドル、総額2億ドルを支払わなければならない。
引退したロス・ブラウン氏の2020年の発言
「2億ドルという数字は、F1参戦を目指す者たちが、それをできるだけの資質を持っているかどうかを確かめる事にも役立つ。
やってくると出まかせの発表をして、結局サーキットにやって来ないという事が伝統的にもあった。それは他のメジャースポーツではまず見られない事だ。」
資金力が無いチームは、参戦する意向を示す価値も無いと言う事です。
予算制限導入と特定チームのボーナスカット
コンコルド協定(2021~2025)の最大のポイントは予算制限の導入でした。
当時のF1代表キャリー氏は、エクレストン氏が行っていた特定チームに分配金を多くするボーナスを減少させて、中位成績チームの分配金を増加させている。
コロナ禍によってF1開催は延期を余儀なくされ開催数は激減、収入が減った下位チームは資金繰りに問題を抱え、F1自体も資金繰りに問題を抱えた。
そんな状況がそれらを後押ししたとも考えられる。
コロナ禍による収入と利益の減少
2020年開催数の激減と無観客開催はF1の利益を減らし、2021年度のチームへの分配金を減らした。(総額約5億ドル)
保障的な部分でチームへの分配金を増加させる為に、コロナ禍による特別な約束をしているはずです。
F1としては自らの借入金を返済をするために収入と利益の増加が必要、更にはチームへの分配金を増加させなければならない。
そういった特別な状況が、現時点で新規チームを受け入れられないと発言する要因となるだろう。
分配金の割合は変更できない為、利益を増加させて分母を増やすしかF1が取るべき道がないのです。
賞金総額と分配金
21開催以上行われればチームに対する賞金総額は10億ドルを超えます。
2021コンコルド協定で大まかに分かっている部分は以下です。
- フェラーリボーナスは総額10億ドル未満で5%(10~10.5億ドル未満6%、10.5~11億ドル未満8%、11億ドル以上10%)
- ヒストリーボーナスはフェラーリ・メルセデス・レッドブル・マクラーレン・アルピーヌ・ウィリアムズの6チームに与えられる。(トップ3にだけチャンピオンシップ順の変動があるらしい)
フェラーリボーナスとヒストリーボーナスを総額から引いた金額を、参戦チームに対する固定やチャンピオンシップ順による変動によって分配される。(順位による割合は不明)
旧コンコルド協定では総額の約70%(総額10億ドルなら7億ドル)だったものが約88%(8.8億ドル)に上昇しているらしい。
AMuSの記事に比較表があるが、書いてある事と表の金額が一致しない。
https://www.auto-motor-und-sport.de/formel-1/neue-geldverteilung-f1-concorde-abkommen/
公表されない内容に強い彼らでも、まだ詳しい内容を聞き出せていないようです。
まとめ
新規チームを認めてあげてほしいとの声が多く聞こえてきますが、現時点での可能性は0です。
技術的、財政的、チームを長く存続させる能力が必要です。
全てを精査された上で参戦が許されます。
F1としては過去にあった能力の無いチームが参戦してすぐに撤退するような悪しき伝統を繰り返しません。
これには私も同意見であり、本当にそんなチームは要らない。
アンドレッティがアメリカで研究をスタートしていると言っているようですが、これでは間違いなく無理です。
F1マシンの知見はEU圏でしか手に入らないもの(F1に関わる人材がEU圏でしか働いてくれない為)、過去の歴史からもこれは絶対的なものです。
本気ならイギリスにファクトリーを建てる、そこに優秀な人員を他チームから引き抜く事が必要です。
今後の展開がそうなるのであれば可能性が増えるでしょう。
簡単に言えば、全てを揃える為に即10億ドルぐらいは必要だと言う事です。(2026年には参戦フィーが上昇します。)
アンドレッティとキャデラックがそこまでの投資を募れるのか、疑問しか浮かばないんですよね。
これを閉鎖的だと言ってしまうのは、F1の技術やそれにかかる金額を全く理解していないのだろう。
F1自体が苦しいときに色々投資してきた既存チームが、F1ブームでようやく投資を回収し始める時に、中途半端な計画しか用意していない新規チームがブームに乗っかろうとしてきたらそりゃ嫌ですよね
資金が用意出来てると言っても資産や投資ではなく5億ドルくらいの現金を1時間くらいでポンと用意出来ないと参戦は難しいと思いますね
アンドレッティ・キャデラックでギリギリ可能性があって、以外の参入希望者は無理な印象です
香港の大富豪は資産的に論外ですし、パンテーラはアジアを拠点と言ってるレベル
ポルシェ・ペンスキーなら誰も文句を言わずに歓迎だったかなと思います
アメリカのレース屋ではペンスキーとガナッシしかF1には対応出来ないのかなと
アンドレッティはいろいろなレースに参戦していますがそのカテゴリーで活躍してる印象が全然ない
勝てる組織なのか疑問なのでファン側がずっと歓迎ムードなのが謎ですね
キャデラック(GM)が来るのは大歓迎
確かにEU圏にファクトリー構えない時点で厳しいですね。
アメリカでのレースでは実績があるアンドレッティだが、F1では全く実績が無い。
元F1ドライバーなのにF1が判って無いのやら舐めてるのやら。
バジェットキャップ前提で参戦させた3チームを、私欲で裏切ったのは現チーム。
FIAもFOMも同罪。
結果、3チーム全滅は当然。
恥知らずが何を言ってるんだろうか?
例えあの時点でパジェットキャップが導入されていたしても、下位定着で撤退は必然ですよ。
メインスポンサーは無い、チームオーナーにも資産は無い、制限だけの金額が用意出来ても設備投資や人材確保できない時点でF1チームの資格はありません。
アンドレッティは5~6年後にタイトルを争う事を望んでいるとか言ってますけど、さすがに目標設定が甘すぎませんかね… マクラーレンやアルピーヌ(ルノー)がもう何年中団で燻り続けてると思ってるんですかね?
もし仮に参戦が認められたとしても、こんな見通しの甘さ(しかもノウハウ0)ではどう考えても数年間は最下位付近をうろうろする事になるでしょう。その時、目標とのあまりの落差にそれでもじっと堪えて参戦し続ける忍耐があるかどうか…正直、かなり疑わしいですね。
ただ、現状の10チームだとあまりにも若手ドライバーのチャンスが少なすぎるので、個人的にはもう1チームくらいは増えて欲しいのが本音です。
PU時代になりF1で使われる技術は加速度的に進歩しました。
V8時代のレギュレーションの感覚では下位グループは確定的F1.5と呼ばれてしまうでしょう。
2022年からのレギュレーションでは、ローテクサスペンションとハイテクPUと気難しい空力の融合で何も知らない技術陣が活躍できる訳はありません。
ただただ下位を走り続ける、マイナスイメージのみが残るでしょう。
ホンダが6年かかって追いついたようにマシンも同じ事です。
各分野に優秀な人材を配置、それらを融合して全体最適化できる人材、長く一歩一歩開発していける環境。
今現在、投資を増やし人材を増やし全く上手くいっていないアストンマーチンが良い例です。
5年で入賞圏内で常に戦えたら良い方ですね。
EUっていうか、F1はイギリス本拠地しか成功しないのは何でなんでしょうか。自動車産業としては没落してるのに、モータースポーツが産業として根付いているのと、インペリアルカレッジみたいな優秀な大学出た人がF1目指すからですかね?そういやMIT出たような学生はF1で聞いたことないですね。NASAとかに就職刷るのな?てことはやっぱり産業と人材なんでしょうかね。ミハエルのフェラーリ黄金期も多くのイギリス人が支えていましたね。
となると、トヨタの壮大な失敗や1勝しただけのBMWから考えると、アウディがスイスのザウバー母体にするのはかなり疑問だし、イギリスにHQ置いたとしてもアンドレッティは厳しいですよね。
イギリスには、モータースポーツ工学の学位を取得できる13の大学と28のコースがあります。
これを持っていないとF1チームで働くのは困難になります。
大学の研究室が何をしているか?企業から依頼され初期の大まかな方向性の研究をする事が多々あります。
例えば、2014PUの論文などは検索すれば出てきます。
F1マシンの開発は3年前からスタートする。レギュレーションの大きな改変がある場合は、学生をも取り込みあらゆる方向性を検討する事になります。
F1チームに直接雇用されるような優秀な学生は、イギリスの大学出身となります。
私は工業出なので、20数年前に衛星ドッキングの一部の計測制御研究をしていましたよ。(教授が何処からかもってくるのです。)
てっきりブレーキとかサスアームとか治具の類を作る職人がシルバーストーン周辺にしか残ってなくて
ちょっとした仕様変更に対応できるスピードが直接持ち込める分だけ違うから
だと思ってました
イギリスを活動拠点とするチーム以外では、イタリアのフェラーリがマラネロを拠点としていますが、
昔フェラーリに在籍したデザイナーのジョン・バーナードがマラネロでは無く頑なに地元イギリスに拘ってデザインオフィスGTOを設立した事は有名です?
「カーボンファイバーモノコック」「セミオートマチックトランスミッション」「トーションバースプリング」だけで無く
F1デザイナーで初めてリモートワーク確立した?
90年代のF1好きなら知ってるのかな?ギルバート・テクノロジー・オフィスですよね。確かにイギリスでデザインしたのをイタリアで作ってたからリモートワークだ。結局うまくいかなくて、フェラーリからGTO買い上げてB3テクノロジーズ設立して、アロウズA18の改良やフルカーボンギアボックスのA19とかデザインしてましたね。あの時もTWRのファクトリーにはフル出社してなかったような・・・。
近年だと、800万ドル貰ってトヨタのTDに就任したけど、あまりケルンに出社しなかったガスコインや、アルファロメオ(ザウバー)のチーフデザイナーにも関わらず、家庭の事情からスイスに赴任せずにイギリスでリモートワークしてたルカ・フルバット(いまはアストンかな?)がリモートワーカーですね。
名門に便乗しようとして無理だと分かると即手を引いたP○RSCHEよりは好印象ですけどね
テールエンダーが増えるだけような参戦形態にはしないでほしいものです
大昔のF1(1970年代前半?)を持ち出してしまうのですが、
F1マシンに混じって下位カテゴリーF2マシンが一緒に混走していた事が有った様に記憶しています。
またF1ライセンスの規定も厳しく無かった時代なのでF2参戦中のドライバーがF1スポット参戦する場面光景も多く見られました。
さすがに現在の成熟したF1では無理ですが、アンドレッティー氏もいきなりF1参戦に打って出るのでは無く下位カテゴリーで実績を積んで
挑戦するのも手段かと思いました。
かってF3000で活躍したジョーダングランプリがF1に初挑戦した例も有りましたが?
F3000やF2から上がったチームが生き残った事はほとんどありません。
下位カテゴリーの経験はほとんど意味が無いです。
設備投資と人材投資できる資金力のみが、速さを作り存続する為に必要なもの。
FIAやアンドレッティが公開してるならともかく、マスコミの憶測であれこれ外野が否定するのはちょっと違う気がしますけどねぇ。
各チームもどこまで情報が開示されてるのかわからないし。
必要以上に騒ぐ必要ないかなと思いますよ。
否定では無いですよ。
過去の事実からF1チームとして継続する為の方法を上げているにすぎません。
現段階では、ただ宣言しただけ。
何も決まっていないので、参戦できる体制を作れれば問題はありません。
新チームが来る!騒いでなんぼなところもあります。
米国の優秀なエンジニアは1)防衛産業2)航空宇宙3)研究所などに行ってしまい自動車関係には二軍しか行かない傾向があります。ただでさえ人件費の高い米国で英国と同じ程度の能力を得ようとしても金銭的に難しいであろうことは想像できます。
アメリカだとモータースポーツ工学の学士号を取得できるのは、4つの大学で5つのコースしかありませんでした。
そういう事で分母が無いようなもの、ワンメイクシャシーレースが頂点では育ちません。
年収と言う点においても軍事系に行くのは世の常ですね。
いつも楽しみにBLOG拝見させていただいております。
自分もF1系情報サイトの記事を見て
「単純に増えるんならええんちゃう?」位に思ってましたが、
それなりの成績を収めるために必要なリソースを考えたら
ハードルはとても高いのだったと改めて思いました。
大学でのモータスポーツの基礎的研究分野がイギリスに多くある(のみ?)というコメントも初めて知りました。
ただ、F1自体がヨーロッパ(イギリス)だけのモータスポーツから
更に広がりを見せるには今回の参戦が良い方向になってくれたらと
願います。もっと多くの人にF1を楽しんでもらえるきっかけになればいいなと。
今では考えられませんが
1980年代初期F1でFISA系チーム(フェラーリやルノーのような車体とエンジンを両方製造するメーカー系ワークス)とFOCA系チーム(フォードDFVのV8エンジンを使って車体だけ独自オリジナルを製造するコンストラクター)との対立や、F1ドライバー全員が待遇改善のためのためレースボイコット、ストライキ騒動有りました。
現在10チームでF1構成されていますが、今後も現状維持出来るか?
次世代PUが始まる2026年までは大丈夫かと思いますが?