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マックス・フェルスタッペンが、ポールポジションから好ペースでハミルトンを引き離し、完璧にレースをコントロールして優勝。

ペレスは序盤3位を走行したがピットストップロスで4位、角田は10位入賞、ガスリーは残念ながらリタイアに終わった。

 

とにかく、マックスが速すぎて驚いた!

予選の一発だけじゃなく、決勝レースでもその速さを維持しての優勝だった。

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シュタイアーマルクGP予選タイム差▲0.194秒

POS ドライバー F S1 T3 T4 S2 S3 タイム Gap Tyre
1 VER 289 16.145 317 317 28.309 19.387 1:03.841 3 C4
316 251 288
3 HAM 287 16.267 313 315 28.411 19.359 1:04.067 0.226 3 C4
311 250 288
4 NOR 290 16.225 322 320 28.400 19.495 1:04.120 0.279 3 C4
320 247 290
5 PER 286 16.342 320 318 28.369 19.457 1:04.168 0.327 3 C4
318 248 287
6 GAS 287 16.221 320 318 28.489 19.526 1:04.236 0.395 3 C4
319 250 286
7 LEC 284 16.434 313 311 28.461 19.577 1:04.472 0.631 3 C4
311 249 283
8 TSU 286 16.373 315 314 28.653 19.488 1:04.514 0.673 3 C4
313 248 284

※ボッタスが2番手で0.194秒差でしたが、直接対決となるハミルトンを比較対象にしています。

 

レッドブルとメルセデスの差は明らかにストレートの加速勝負差であることが、セクター1の通過スピードとターン3,4の手前最高速度でわかります。

レッドブルが得意とする低速コーナー、ターン3,4があるセクター2では、フェルスタッペンの次に速いのがペレスであり、ハイレーキの前傾姿勢の強さが表れています。

セクター3では、ターン7がずば抜けて速いハミルトン、速度が高い状態で前後左右の荷重移動を得意とするメルセデスの強みが表れています。

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なぜ、レッドブルはコース後半の200km/h前後の中高速コーナーでも速かったのだろうか。

ドライバビリティが向上した!?

大きくたわんでいたリアウィングはなくなり、ストレートスピードを稼ぐにはウィングの前面投影面積を小さくする必要がある。

ダウンフォースは、レーキ角度を利用したディフューザーとフロア、そしてリアウィングで上手く調整する必要がある。

これまでのレッドブルは、攻めすぎたフレキシブルリアウィングとレーキ角制御をするリアサスペンション、2つの大きな変数を抱えていた。

速度域のみで変動するウィングと荷重移動と速度域で変動するリアディフューザーの高さ、同時に上手にセッティングしなければならない。

更にはドライバーのスロットルやブレーキの変数も加われば、どれだけ大変でスイートスポットが狭くなるのは容易に想像できるだろう。

 

レッドブルリンクのフェルスタッペンを見る限りコーナー立ち上がりに安定感があり、ドライバビリティが向上しているように感じられた。

フランスから過剰なフレキシブルリアウィングが封じられた事で、本来得意であるレーキ角制御に集中できたと考えられる。

それを最大限に生かすものとして、ディフィーザー上面で発生するダウンフォースの増加や安定度に力を注いでいる。

過去3戦では、端の方だけ鋸歯状だったディフィーザーフラップが全体に広げられた。(フェルスタッペンのみ)

このフラップはほぼ垂直状に付いていて、ウィングに付けるガーニーフラップみたいなものですが、スリットを設ける事でドラッグを減らしつつ、ある程度の流れを作っています。

鋸歯状によりフラップ裏を回る空気の乱流を細かくして、流れの剥離を減らしフラップ効率を高める。2次的効果として下面から上がってくる空気をフラップ付近に引き込む量を増加できる・・・らしい。

 

ディフィーザー上面でダウンフォースを稼ぐ仕組みは、今年レッドブルが最も力を入れている部分、安定性を高めるための細やかなアップデートも多く、リア車高をコントロールする事で角度を変更し、効果を変化させる事が出来ている。

高い時は上面の機能が多く発揮され、低い時は相互作用で下面の機能が多く発揮されるといった感じです。

 

新しいリアウィングはメインプレートが極端に湾曲したものを使用、ストレートでは前面投影面積が少なく、前傾姿勢になった時はエアダムのように空気を捉える、そしてターン時に斜めにフレッシュエアーが当たれば下面の曲線分、流れる距離を稼ぐ事でダウンフォースを増加させる。

これでは足りなかったらしく、金曜から土曜にかけて、薄めのガーニーフラップが取付けられている。

 

ポールリカールではダウンフォースが若干足りないような印象だったが、レッドブルリンクでは全く問題がないぐらいに感じた。

シュタイアーマルクGP決勝タイム差▲35.743秒

ハミルトンがファーステスト狙いのピットストップをするまでの差が17秒ぐらいでした。

予選タイム差約0.2秒×ラップ数71=14.2秒、予選の差をそのままレースペースでも維持でき、タイヤのデグラーデーション差で更にタイム差を作れている結果になります。

 

ハミルトンはドラッグがレッドブルより多く、ストレートだけで毎週約0.2秒の差を付けられていた。

更には、リアサスペンションを硬めに攻めすぎたのか? リアタイヤのオーバーヒートに悩まされC3ミディアムとC2ハードの両方が先に悲鳴を上げた。

メルセデスは2台共にブリスターが出来る程に、リアタイヤが加熱していた。

 

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ペレスはノリスに予選で負けた事、ソフトタイヤスタートだった事、序盤の10周抑えられハミルトンに大きく離された事、ピットストップが4秒になりボッタスにオーバーカットされた事、アップデートデュフューザーではなかった事。

数多くの理由があるが、ダメージリミテーションとしては4位が最高の結果だった。

 

角田は11位スタートからトレイン状態の中、走るだけで手一杯な感じ、ラッセルがいなくなりピットインまでの1ラップ、タイヤが残っていなくて前のアロンソに詰め寄るスピードは出せず、アンダーカットは出来なかった。

耐えるレースをしっかり走って、10位入賞は立派だっただろう。

必要なのはエンジニアとのコミュニケーションに他ならない。

 

ガスリーは、なんでこうなったって感じ、ターン1でルクレールと意地の張り合い、挙句にはリアをヒットされてリタイア。下位カテゴリーからのライバル同士、引けない所はあるのだろうね。

まとめ

レッドブルのアップデート攻勢は本当に素晴らしい。

夏休み以降は新規定に向けて、全力が注がれるだろうけど、今は今で久しぶりのチャンピオンに向けて頑張ってくれている。

 

ホンダは2基目のエンジンで何かが変わった? ウィングドラッグレベルだけでは考えれないパワー差、メルセデスは14hp上がったと試算して、おかしいと訴える。

フェラーリは、GPSデータからも明らかであり開幕バーレーン時点の出力だと、鼻で笑うかのようなコメントをしている。

 

フェラーリのデータ試算を信じるならば、ホンダはバーレーン時点で問題があり(3台のES&CEがトラブルに見舞われた)出力を意図的に下げていた。

2基目で信頼性に関わるアップデートが行われ問題が解決され、出力をアップ出来た(元に戻せた)と考えられる。

そして年1回許されるオイルアップグレードも投入されている。

アゼルバイジャンから使われ、金属部品に残す保護フィルムを改善し、エンジンの摩耗を保護し、摩擦を減らすことができる。必然的に、少ないパワーの増加をもたらす。

 

現状アップデートをしていないメルセデス、レッドブル・ホンダの4連勝、今後のチャンピオンシップがどうなってしまうのか?

いささか心配な反面、ホンダ最終年に有終の美が一歩も二歩も前進している事が、嬉しい事態であります。

 

さぁ行け!行ってしまえ!レッドブル・ホンダよ!