https://www.auto-motor-und-sport.de/(2019 HONDA ES)

F1のES(エナジーストア)と呼ばれる回生エネルギー用のバッテリーが、全固体電池である可能性が非常に高くなった。

ホンダが2021年の第12戦ベルギーGPから投入、フェラーリは第15戦ロシアGPから新型ESを投入している。

フェラーリは、電圧を400Vから800Vまで押し上げたと言われ、F1におけるバッテリー開発と電動モーター開発には、最先端技術が投入されている。(メルセデスやホンダは既に800V)

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ホンダの新型バッテリー

F1パワーユニット開発責任者 浅木氏

「新型ESの開発プロジェクトは、エネルギー効率の改善と徹底した軽量化の両立を目標に、数年をかけて進めてきました。」

「Hondaとしては、今年でF1最終年となりますが、そのシーズン後半戦になんとか間に合わせて、低抵抗で高効率な超高出力軽量バッテリーセルを搭載した新型ESを実戦投入できました。」

「悲願である、打倒メルセデス、そしてチャンピオンシップ獲得を実現するためには、さらなるパフォーマンスの改善が必要な状況でしたから、当初の開発計画では2022年シーズンを予定していた新型ESの開発計画を大幅に前倒しして、2021年シーズン中の投入を達成しました。」

「この新バッテリーセル(エネルギー)技術は、F1活動終了後も、レース以外においても『移動』と『暮らし』の新価値創造によるカーボンニュートラル社会の実現という、Hondaの将来技術に大きく貢献していくことになります。」

引用元:https://honda.racing/ja/f1/post/new-energy-store-f1

フッ化物イオン電池

2018年12月、ホンダはカルフォルニア工科大学とNASAと協力して、フッ化物イオン電池の開発に成功したとサイエンス誌に論文を発表していた。

フッ化物イオン電池は、リチウムイオン電池の10倍のエネルギー密度があり、バッテリーパックを大きくすることなく、電気自動車の航続距離を伸ばす事ができる。

この種の電池化学の主成分であるフッ素の原子量が小さいため、フッ化物イオン電池の性能が向上すると述べています。

この材料の潜在的な利点は以前から知られていましたが、大きな欠点がありました。バッテリーが機能するには、摂氏約150度の温度が必要でした。

しかし、ホンダはこれらのバッテリーを室温で動作させる方法を見つけたと主張している。これは、研究者によって開発された新しいフッ化物電解質(バッテリー内で電気を伝導する材料)のおかげです。

カーボンナノチューブ

2009年 Honda Research InstituteUSAのプレスリリース

ホンダは、車両開発の飛躍的進歩につながる可能性のある新技術に取り組んできました。

パデュー大学とルイビル大学の科学者と共同で行った同社の最初の研究では、微細なカーボンナノチューブがより速くより効率的に電気を分配できる可能性があることが示されました。

「これらの小さなカーボンナノチューブが金属伝導性を示す場合、鋼と比較して並外れた強度を持ち、銅よりも高い電気的特性を持ち、ダイヤモンドと同じくらい効率的に熱を伝導し、綿と同じくらい軽い。」

 

フッ化物イオン電池とカーボンナノチューブは、海外サイトで注目されているホンダの技術です。

全固体電池の量産実用化が始まると言うタイミング、ホンダが将来的に内燃機関を止めると発表した事、これらの時期的な繋がりを考えれば、F1と言う予算豊富な実験場において、全固体電池が投入されている事は事実だろう。

 

ホンダのアメリカ研究所が、新素材や電気技術に対して大きな役割を担っている。

NASAとも協力している関係からも宇宙事業への進出は、自然な流れなのかもしれません。

フェラーリのERS進化

https://www.auto-motor-und-sport.de/

motorsport.comイタリアでは、フェラーリが電圧を800Vに上げ、全固体電池を投入したと発信している。

現在、私たちが多く使用しているリチウムイオン電池は、電解質が液状であるために、膨張したり熱を多く発する。不良品や取り扱いを誤ると爆発したり発火したりと問題が大きい。

全固体電池は電解質が個体であるが故に、これらの現象が大きく抑えられ、エネルギーの熱損失が非常に小さくなる。

小型に作る事が可能となり、レギュレーションで定めれているES(20~25kgの範囲内)の規定ギリギリ20kgにする事が可能となるようだ。

この重量にはバッテリーセルのみならず、冷却システムも含まれる。(空対水ラジエーターは除く)

 

肝心の性能はと言うと、ロシアGP決勝レースにおいてルクレールとサインツの同条件のクリアラップ時に、ストレートで約0.1~0.2秒の差が常にあったと海外ジャーナリストが分析している。

ルクレールのマシンは、MGU-Kサポートが長くなりディレートが減少していると分析していた。

 

ルクレールが新品に対してサインツは3~4戦使ったPUのため、この分析結果の信憑性は若干低くなるが、確実に進歩していることは間違いない。

電圧を高めれば、電流を減らせて抵抗損失が減少するから当然の結果となるだろう。

まとめ

全固体電池の投入は、小型化、低重心化、熱損失の低下、冷却システムの小型化などに繋がって行き、来年以降のマシンではモノコックのスペースに余裕を与え、ボディの空力的損失にも寄与していくことになる。

これはフェラーリのみならず、ホンダのバッテリーを受け継ぐレッドブルにも言える事である。

メルセデスやルノーがどうなっているのか情報は無いが、メルセデスは使っているとは思う。

MGU-K・ES・CEは2022年9月1日が最終ホモロゲーション期限となるので、それまでには何かしらの用意があるだろう。

 

ホンダの電動化宣言、これは全固体電池や高効率なモーターなどの技術的な目途が立った事によるものだと言えるかもしれない。

自動車の電動化は確実に行われていく、最も重要なバッテリーの高効率化は、どのメーカーも喉から手るほどほしい技術です。

フォーミュラEでは、バッテリー開発が出来ないからなのかメーカーの撤退が後を絶たない。電気技術においてF1の方が先行しては元も子もないだろうに・・。

 

※ホンダの2021年のバッテリーはリチウムイオン+カーボンナノチューブでした。