オーストリアGPでは昨年に引き続きウルトラソフトタイヤを含む「US・SS・S」の組み合わせになります。ここ数戦のロングストレートを含むコースではメルセデスがフェラーリよりも優勢となっています。
オーストリアGPのタイヤ選択
マクラーレンのブレないソフト側多め設定が選択方式になってから続いています。
2016年のタイヤ戦略
優勝したハミルトンは2ストップ、最終ラップまでトップだったロズベルグも2ストップで2、3位が1ストップでした。
- ハミルトンUS:3old(21)⇒S:(33)⇒S:5old(17)
- フェルスタッペンSS:3old(15)⇒S:(56)
- ライコネンSS:3old(22)⇒S:1old(49)
- ロズベルグUS:3old(10)⇒S:(45)⇒SS:(16)
メルセデスは終盤に他マシンとのギャップを生かしてもう1回ピットに入る戦略でしたが、ハミルトンが先に中古ソフトへ交換して、次のラップにロズベルグが新品SSへ交換。
SSの方が先にタイヤグリップレベルが低下してソフトのハミルトンの方がペースが良かったです。その為ファイナルラップで追いつかれたロズベルグはハミルトンを強引にブロックして接触、4位に落ちる結果となりました。
2016年タイヤの状況
USは12周、SSは16周、Sは40周ぐらいまでがタイム的に使える範囲内でした。
各タイヤの最多周回はUSはハミルトンが予選含め24周、SSはナッセが27周、Sはフェルスタッペンが56周しています。USもSSも劣化が早くて使いづらい状況だったと感じています。
2017年のタイヤの状況は?
ピレリの指標では路面μが最低の1となっています。
5段階指標 | AUS | CHI | BRN | RUS | ESP | MON | CAN | AZE | AUT |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ダウンフォース | 4 | 2 | 2 | 4 | 4 | 5 | 2 | 2 | 3 |
路面グリップ | 1 | 3 | 4 | 4 | 4 | 1 | 1 | 4 | 2 |
路面の荒さ | 3 | 3 | 5 | 2 | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 |
タイヤ横方向の負担 | 2 | 4 | 3 | 5 | 4 | 1 | 1 | 2 | 3 |
タイヤ全体の負担 | 1 | 4 | 3 | 2 | 4 | 1 | 2 | 3 | 2 |
路面の粗さが無くタイヤの食いつきが悪いとなっています。ダウンフォースは中間設定となり高めのスピードを維持したコーナーもあります。
実質ストレートが3本あるのでパワーがあるほど有利なコースになります。
タイヤのデグラデーション
今年は予想が難しいです、Sは間違いなく50周は使えるでしょうがペース面での不安があります。1周が短いので71周と長丁場なレース。USは25周、SSは35周は使えるでしょう。
路面μが低くタイヤの横滑りが多い、ダウンフォースセッティングの差が鍵となります。
まとめ
タイヤ戦略はUS⇒Sの1ストップと、US⇒SS⇒USの2ストップの2択ですが、ペース的には2ストップの方がかなり速いはずです。
問題は去年通りに前走者を抜けるかどうかという点です。比較的に抜きやすいコースではありますが今年の乱流の影響は大きいので何とも言えませんね。
Q2をSSでクリアする方法もありますが、USタイヤスタートの方が無難でしょう。USはデグラはありますがライフ後半の粘りが大きく、新品SSとペースが変わらない現象がカナダで見受けられました。
戦略としては1周が短いため「アンダーカット」はきついですね、前走者より柔らかいタイヤに交換するならタイム差が生まれ成功確率は上がります。
2戦ぶりのUSタイヤの登場となります。メルセデスの対応次第ではフェラーリ優位となります。ここ数戦メルセデス優位状況が続いています。タイヤへの対応力でフェラーリとしては差を付けたいところです。