2022年型フェラーリパワーユニット066/7は、大きなパワーアップを果たしたがトラブルが続出、信頼性と言う面では苦境に立たされている。
2025年末までパワーアップに繋がる開発が凍結されるため、このような事態になっている事は否めない。
ルノーも同じような状況であり、パフォーマンスを優先して耐久性は二の次となっています。
新しいフェラーリパワーユニット(エンジン)はレイアウトを変更している。
新たな画像を元にこれを紐解いていきたいと思います。
フェラーリのタービン位置は前方&上方へ
画像の角度の違いはあるが、エンジン後方の取付ボルト位置、エキゾーストがタービンへ繋がる位置を比較するとフェラーリのタービン位置は前方へ移動している。
(2021年型はタービン位置がわかる画像が無く比較出来ない。)
タービンの中心軸は、前方にある円型水冷インタークーラーよりかなり上方に位置する。
比較用ホンダRA621H
フェラーリとホンダのタービン軸高さの比較です。
エアボックスフィルターの変化
2021年までのエアボックスは、コンプレッサーの圧縮空気を前方にあるインタークーラーへ導くパイプライン(赤色矢印)によって2分割されていた。
2022年型で一つのエアフィルターになっています。
この位置は2021年型とほとんど変わっていない、よってコンプレッサーがこの下にあると言うのは強引すぎる予想となってしまう。
数少ない2021年型のこの画像を見ると、タービン位置は前方に移動、そして若干上方にずらされているように見える。
2021年までのタービン&コンプレッサー&MGU-Hのレイアウト(現物では無いので注意)
フェラーリはスプリット型を否定しているので、このレイアウトのままだと思われる。
2022年型フェラーリ066/7エンジンのレイアウト予想
円型水冷インタークーラーは、その中心より真っ直ぐに高温の圧縮空気を入れる事で最大の効果を発揮するものです。
コンプレッサーで圧縮された空気は渦流状態になっており、円の中心より空気を取り込む事で、冷却フィンに沿って流れやすくなります。
後方にあるコンプレッサーからのパイプラインはVバンクの底を通ってインタークーラーへ繋がっていると予想します。
コンプレッサー前側はエンジン後方のVバンク内に、ほんの少し押し込められていると考えています。
フェラーリのタービン軸はメルセデスやホンダよりもかなり高い位置にあります。
コンプレッサーの外形を納める為に、そのような設計になっているのでしょう。
可変吸気システムが入っているプレナムチャンバーから出るインテーク用ダクトが、コンプレッサーの吸気部分やMGU-Hを避けるように横に張り出している。(赤矢印)
ホンダやメルセデスの場合は何も無いそのスペースを通る。
フェラーリのコンプレッサーは外形が小さい、その為にラグが少なく加速に優れるとの予想もあるようです。
タービン軸が高い事は重心が上がってしまうリスクもあるが、センタークーリングを使っていなかったり、ラジエーターを極力下方に集中させているF1-75ならバランスが取れる。
事実、速さはナンバー1なのです。
慣性重量の小さいタービンで高風量のものが搭載されていれば、軸負荷に対して素早く出力を上げる設計はしやすいハズです。そういった意味では大風量=大型タービンという選択ではないのかもしれませんね。高風量を高圧縮で実現しているのかも。そうすると、インタークーラの効率や、タービン自体の冷却などは、他メーカのPUと比較して要求が厳しくなってくる・・・。
高地ではタービン回転数を上げなければならない、オーストリアでトラブル。
メキシコではかなりきつい状況に陥りそうです。
Vバンク角90度と言う規定の中で制約受けているのでPUの設計は色々大変な面が有るでしょう。泣
それでも2014年から一貫した統一レイアウトなので文句は言えませんので仕方無い。
2026年次世代PUのICEもVバンク角90度は不変でしょうね?
オールドF1ファンにとっては、
1982年フェラーリ126C2に使われていたVバンク角120度の6気筒でバンク内部に2つのターボユニット(ツインターボ)をレイアウトしたウイングカーのイメージが抜け切れません。
現在のPUでVバンク角度を拡大してしまうと左右サイドポッド床下のベンチュリー構造に干渉して影響出てしまうでしょうね?
ウイングカー時代の120°Vなので問題ないでしょう
当時の最強ウイングカーだった
フェラーリ126C2に搭載されていた120°Vは、Vバンク間にターボユニットを配置しただけでなく吸気のサージタンク(現在のプレナムチャンバー)もバンク外側に配置(左右に振り分け)していた?
つまり吸気と排気を逆配置していた訳ですね。
現在のPUは、外側排気のエキゾースト菅を内側に周り込ませてバンク中央に配置したシングルターボに集合させて接続している?
画像のフェラーリPU見ると一目瞭然ですね。
2026年次世代PUも吸気と排気を逆転させたレギュレーションにして頂けると大変嬉しいのですが無理ですかなぁ?笑
実際のところ、フェラーリPUのトラブルは、どのコンポーネントで起きているのでしょう?
Vバンク内に押し込んだレイアウトも関係しているのでしょうか?
コンプレッサーがVバンク内にあるというのは、昨年からそうだったとの予想です。
ですのでそれは関係ないと思っています。
サインツのトラブルは、タービン回転数が異常に上がったとの未確認情報があります。
バルセロナから始まった白煙トラブル、これらは全て排気タービン関連だと思われます。
ルクレールがエキゾースト(8基到達)を貯め込んでいるのも気がかりな事です。
これはわざと貯めていて、PUペナルティを受ける時に9基目などのストックを得る為だそうです。
排気タービンって事はMGU-H関連ですかね。
フェラーリの事なので、Hの使い方に何か新しいものを取り入れているのかもしれませんね。
画像のフェラーリPUで、排気エキゾースト菅の巻き方(女性の髪をカールさせたような?)をICEのシリンダーヘッド付近高さまで持ち上げていますね?蛇がとぐろを巻いている姿にも見えます。笑
サイドポッド床下のベンチュリートンネル空間確保のためでしょうか?他のPUサプライヤーも同じ格好ですかね?
エキゾーストの等長のためです。
メルセデスはかなり長いです。
ルノーPUのエキゾースト菅(太い?)も同じような巻き方なのか?見た事が無いですが(最新型のセパレート式)
現在レッドブルとアルファタウリが使用するRBPT製PU(ホンダHRC)のエキゾースト菅は、昨年度RA621Hのようなエキゾースト菅みたいに巻き方がコンパクトなタイプなのか見てみたいですね。
ホンダが初めてPUを出した頃(2015年マクラーレンに供給デビュー)のRA615Hはタービン軸高さが現在よりも高かったのが懐かしいです?
初めてのホンダPUだったRA615Hもそうでしたが、
90°Vアングルで、バンク内にコンプレッサーを収納したけれども外径が小さいコンプレッサーでないと収め切れないでしたですね?
おまけにタービン軸も高い位置だった。
次のRA616Hではコンプレッサーを拡大したけれど更にタービン軸の位置を高くした。
RA617HになってVバンク外側にコンプレッサーを追い出した事で、
大きなタービンでもタービン軸を低い位置にレイアウトする事が出来ました。
外径が小さいコンプレッサーだから容量が足りない?とは思わないですが、フェラーリは思い切った事をするな?と思いました。
セパレート式採用しなかった代わりに採用した方法なのでしょう?
車体に合わせた最適コンパクトなPUの設計製作は、本当に難しいですね?
ホンダのコンプレッサーは2019年から奇想天外なツインアウトを採用、その為かホイールがもの凄く薄くなっています。
圧縮する距離が半周減るのでそのような形になっていると推測しています。
大径は確かに回転数を下げる事が出来ますが、制御が難しくなってしまうデメリットも考慮する必要があるでしょう。
有り難うございます。
2019年からレッドブルに初供給したRA619Hでしたですね?
オーストリアGPで、レッドブルホンダが初優勝したのは一生忘れられない思い出です。泣
高地で空気が薄いサーキットでは、コンプレッサーへの要求が高い?
今シーズン、フェラーリがレッドブルのホームコースのレッドブルリンクでルクレールが優勝しましたが、シーズン後半の同じ高地サーキットのメキシコGPエルマノス・ロドリゲスサーキットでも勝てるか?注目します。
でもレッドブルのメキシコ人ドライバーが許さないですよね?笑
高地には絶対的なダウンフォースが必要、特にフロントが必要、尚レッドブルにはありません。
HONDA PUの歴史は本に詳細出てるので判り易いですよね
あそこまでバラして良いのかと思いましたが(笑)
プレナムはホンダっぽいですよねぇ・・・
一番下最後の画像を見ると前方に付いている丸い円形上の物体が、一瞬コンプレッサーと見間違えてしまいますね(セパレート方式だと、ここにコンプレッサーが配置されますが)
残念ながら水冷式のインタークーラーなのですね。
フェラーリは、2014年から一貫してセパレート式ではない通常タイプを使い続けてきましたけれど、一度くらいはセパレート式PUの試作機とか試した事はないでしょうか(噂話だけで実際製作した気配無し)
現在メルセデス、レッドブルパワートレインズ(ホンダHRC)、ルノーがセパレート式を採用していますが、
2026年次世代PUの時には、再びフェラーリのような通常型に戻る可能性も有りますね。
MGU-Hが廃止されて無くなるとVバンク間のスペースが余る?
このスペースを生かした新しいPUが誕生するかも知れない?
MGUHが無くなるので、コンプレッサーとタービンは隣り合わせな普通なものになりますよ。
加えて性能差やコストを考えると外形のサイズなどは規定が設けられると思っています。
(何なら共通ターボチャージャーになるかも・・)
燃料流量の削減、今は100kg/hですがWEC並みの80kg/hなどになると思います。
可変吸気も禁止となり10kg程度は軽くできるでしょう、その分はMGUKやバッテリーの拡大によってトレードオフされます。