F1のギアボックスは規程で8速となっていて、年間通して固定ギア比(1度だけ変更可能)となっています。2017年マクラーレンはこのギア比変更を行っていないとの情報があり、かなりのローギアード設定であるとの指摘があります。
ホンダはアップデートをかなりの回数でおこなっており、開幕時のパワーバンドと現在では大きな違いがあるでしょう。それなのに変更しないマクラーレンはおかしいよね。それもこれもパートナー解消へ進んでいたための弊害なのかな。
いつもはトップエンドで回り切らないホンダエンジンですけど、メキシコGPでは空気が薄く車体の空気抵抗が減った事で8速DRS無しで11,500rpmまで回っていました。各車の各ギアでの速度の比較ができやすくなっていたので分析してみました。
各ギアでの回転数と速度比較表
チーム | ギア | 4速 | 5速 | 6速 | 7速 | 8速 |
---|---|---|---|---|---|---|
マクラーレンホンダ | 回転数rpm | 12,000 | 12,000 | 11,600 | 11,500 | 11,500 |
速度km/h | 184 | 215 | 247 | 278 | 315 | |
レッドブルTAG | 回転数rpm | 11,500 | 11,500 | 11,350 | 11,350 | 11,360 |
速度km/h | 190 | 227 | 260 | 292 | 326 | |
フェラーリ | 回転数rpm | 11,900 | 11,900 | 11,900 | 11,700 | 11,500 |
速度km/h | 188 | 220 | 258 | 289 | 320 | |
メルセデス | 回転数rpm | 12,600 | 12,200 | 11,700 | 12,000 | 11,500 |
速度km/h | 202 | 233 | 261 | 294 | 321 |
比較するために見たオンボード動画の関係上、ホンダは8速11,500rpmまでしか確認できなかったのでフェラーリやメルセデスはそれ以上回っていますが同じ回転数時点での速度としています。8速以外はギアアップ時の回転数です。
エンジン回転数と速度分析
マクラーレンホンダはアロンンのフリー走行でのデータで、DRSを使わなくても8速11,500rpmまで回っていますが、そこで頭打ちとなっています。7速でも似たような回転数なのでホンダのパワーバンドの上限は11,500rpmなのでしょう。
レッドブルTAG(ルノー)はフェルスタッペンの決勝でのDRS無しラップです。ホンダ以下の回転数ですが速度は高い、ピークパワーで苦戦しているルノーのパワーバンドは低いため、速度を稼ぐためにレッドブルはハイギード設定をして対処している。
フェラーリとメルセデスは上記のデータ表からも、ほぼ同一のギア比設定だと思われます。
ストレート速度が遅い訳はホンダのせいだけではない
ルノーエンジンであれほどスピード出せるレッドブルは流石と言わざるを得ないですね。空気抵抗が少なくダウンフォースの効率がいい、そして最高回転数の低いエンジンをギア比設定でメルセデスやフェラーリに負けないトップスピードを確保できている。
マクラーレンの現在のギア比では低速度域の加速は素晴らしいが、抜くため抜かれないための高速度域での伸びが圧倒的に足りない事は明らかですね。
ホンダとルノーのパワー差は今や10kw(約13.6馬力)程度となっているはず、そしてホンダが今年、主におこなった改良は低・中回転域での出力のはずです。パワーバンド以上には空気抵抗のある状態では加速できないでしょう。
それほどパワー差のないルノーでレッドブルが速度を稼いでいる事実が、現状のマクラーレンに大きく足りない部分であります。空気抵抗が大きすぎて加速が遅くなるためギア比を高くできないとしたら元も子も無いですけどね。
来季トロロッソはどうするのか?
レッドブルルノーのようなギア設定できない理由がホンダにはあるのかもしれない。パワーバンドが異様に狭いとかね。
比較対象チームが無いホンダはこういった部分でも立場がない、来季のトロロッソがどのようなギア設定をするかで、ホンダの本当の実力がわかるかもしれません。
トロロッソを通してレッドブルはホンダの実力を把握しているので、彼らの作るギアボックスには期待しています。
いいデータですね、大変だったでしょう。MCLはあきらかに低中速コーナー重視のギヤ比になっていますね。ストレート入り口からエンドまでの加速が他車より劣っているのは分かっていてもギヤ比の変更を行わないのは理解に苦しみます。ただ、燃焼速度が少し劣っているためタービンとコンプレッサの形状を低中速に合わせている可能性が考えられますね。たしか、スペック3以降のアップデートでタービン&コンプレッサを変えて、少しパーワーアップしたという話も聞きましたから、その可能性も考えられるのでは?と思います。今シーズン、あと2レースあるのだからギヤ比の変更してほしいですね。来シーズンのミッションの中身はレッドブルテクノロジー製との情報ですから、ほぼレッドブル仕様に落ち着くのではないか?と勝手に想像しています。
もしホンダPUがこのようなギア比設定でしか加速しないのだとしたら、ルノーに対してピークでは10kw程度の遅れでも、
実用回転域のトルクとパワーが足りなさでは相当離されている事になっちゃいますね。
来季のトロロッソがどういった設定するのかで推測はできそうです。
流量制限のため高回転域が利用されていないのは各社同じでしょうが、それでもホンダは他3社に遅れをとってしまっているので11500回転がピークなのだろうと予測してみる。スペック4の希薄燃焼をモノにできればピーク回転域が上げられるのでパワーバンドも違ってくるかと思われますね。
我々のシャーシはトップレベル!遅いのはホンダのせい!っていい続けてきたのでコーナーで速く、ストレートで伸び悩むのは我慢できる訳ですね。
すべての悪循環がドラッギーなシャーシからきている気がします。
アブダビのテストが楽しみです。
最大燃料流量は10,500rpmから上限の100kg/hとなります。
各PUはフル加速時には各ギア10,500rpmぐらいから回る様に設定しています。
レッドブルがルノーPUを理解して最大限スピードを得られるように努力しているのに対してマクラーレンは・・
あ、アブダビテストはマクラーレンもトロロッソも走行しないと思われます。
さすが!管理人様。
素晴らしいデータで説得力あります。
マクラーレンのミッション、今年の2〜3月のテストで振動が問題になってましたね。
ポストシフトオシレーションの問題。
シフトチェンジ直後に共振がひどく、ドライバーにもエンジンにも影響していたわけです。
ギアレシオは、ホンダPUに合ってなかったのはザウバーも分かっていたみたいですしね。
トロ・ロッソとホンダが組んだ事で、足回りとミッション含めて風通しが良くなりそうなので来年、期待してます。
もっと早くに検証しておくべきでしたね。
遅くなって申し訳ないです。
シフトチェンジの振動問題はホンダがトルクの谷があった事を認めていました。
燃料の流量制限のため高回転域が利用されていないのは各社同じでしょうが、それでもホンダは他社に対して希薄燃焼をモノにできていないのでしょう、それで回転域を上げられない、と
そこが有効回転域になるにはスペック4の投入まで不可能でしょうが、マクラーレンとしてはそれを待っていた、という見方もできるかと。
「この記事(ギア比)具体的で、とてもいい勉強になりました◎」
今回の具体的な数値比較(ギア比×スピード等)で、はじめて私なりにイメージ(理解)出来ました。「ありがとう!」ございます。
さて、ホンダPU最高速に、ダウンフォースにギア比セッティングが影響していれば来期のポジティブエビデンスで嬉しいです!皆さんのコメントも拝見させていただくと考察鋭いですね(初期共振の件など)、チームMcとのホンダPUの特にストレートエンドでのパワーエフェクト少ない事によるパフォーマンス不足に対し来期希望に繋がります。加えて来期は、言い訳出来ない(ホンダ本陣の長谷川さん中村さん達は一切言い訳をしていませんが)様な雰囲気感も増してきました、今季まだ、特に信頼耐久性の確認的に大事な2戦残しますが、予想外の’17もあり’18プレシーズンを想像すると「早くもドキドキ!」「とても緊張してきました!」来期『HONDA PUの制限基数含めパフォーマンス向上してほしい!」ですね。
『シャシーToro Rossoさん、ギアボックスRed Bullさんも宜しくお願い致します。m(_ _)m』