2019年ホンダがとうとう予選においてある一部のラップのみパワーアップさせる「パーティーモード」を搭載するとの情報が舞い込んできた。レッドブルのマルコ氏が散々発言しているが、日本人ジャーナリストの米家さんもこの事に触れている。

そもそも予選ではパワーモードを使用して、決勝とは違うエンジンモードで走っているが「パーティーモード」はそれより一歩進んだものと解釈していいと思う。

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パーティーモードは燃料・オイルと密接に関係

 

先ほど公開されたスポルティーバの米家さんの記事に以下の一文がある。

引用元:https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/motorsports/motorsports/2019/01/20/2019f1_split/

モービルとの燃料・オイル開発がようやく進み、ホンダも2019年からはオイルを燃焼させる「予選モード」が使えるようになる。

 

ホンダはモービルの燃料・オイルを使用している。現在の直噴ターボ技術において燃料との連携による燃焼効率のアップは切っても切れないもので、燃焼室の改良に伴い燃料の新仕様が必要になってくる。

モービルはレッドブルの公式パートナーであり、今年からホンダとしても公式にパートナーシップを形成する事ができる。昨年トロロッソが買っていた立場との違いがより明確になり、公に協力体制を前面に打ち出せることになる。

そんな協力体制の第一歩が2019年「パーティーモード」の稼働となるのであろう。

 

気がかりなのはオイルの燃焼という部分である、かなり厳しいレギュレーションにおいて管理されているはずなのだが・・。

今一度オイルのレギュレーションを振り返り、オイルを燃焼させる方法を紐解いていこうと思います。

オイルの主なレギュレーション

  • 100kmあたり0.6ℓの使用制限
  • 技術規則第7条 ⇒オイル噴射:PUのいかなる部分とエンジン吸気との間に、アクティブ制御弁を使用することは禁じられている。

技術規則第20条には詳しい成分なども盛り込まれていますので、気になる方はどうぞこちらヘJAFモータースポーツ諸規則リンク

オイルは機械的な部分の潤滑油であり燃料としては使っていけないとなっているが、主にピストンシールから漏れる事で燃焼してしまう。よって規則として燃焼させてはいけないと記載できない。

FIAとしてもその使用量の制限とオイルライン上から吸気工程に意図的に調整可能な弁を排除する事しかできないのである。

オイルの流入経路

オイルを燃焼させるには吸気工程に流入させる必要がある。コンプレッサー、MGU-H、バルブ、可変エアファンエルなど吸気工程の中でオイルを使用している部分はいくらでもある。

コンプレッサーなどのシール部分に意図的に隙間をつくり流入させるが、2018年から規制によりオイルラインに可変できる弁を取り付けられず量が調整できない、これではいつも垂れ流し状態になってしまう。

いったいどうやってほしい時にほしいだけ流入させる事が出来るのだろうか?

可変吸気エアファンネルを利用

HONDA-RA122Eの吸気エアファンネル(1992年)

現在のF1エンジンは可変吸気エアファンネル(トランペット)を使用している。低回転域では長く、高回転域では短くなるのが主な動き。

そこでこの可変して良いファンネルを利用して、流入量を調整しているのではないかと2018年にフェラーリが疑惑を投げかけられている。

 

オイルを流入しパワーアップをしたい時は主に高回転域だろうから、可変ファンネルが短くなったところでオイルリークする隙間が表れるようにしているのだろう。

この隙間は可変ファンネルの位置を極微妙に変化させる事で流入量を調整できると思われる。詳しい機構は一般公開されないのですべては憶測です。ただ可変可能な部分はここ以外現状ないのです。

 

いつも隙間がありオイルを流入させる事は容易だと思うが、それではほんとに微々たる量になり利点も少ない事になる。0.6ℓ/100kmは守らなくてはならないので、ほしい時に使える分だけ調整できなければ意味がない。

ホンダの「パーティーモード」がどれほどのものになるのか!

開幕戦の予選が待ち遠しくなってしまった。

※以下追記19.1.23

パーティーモードでのオイル燃焼の量

0.6ℓ/100kmとは一体どれほどの量なのか?パワーアップさせるには単位時間あたりどのくらい必要であるのかをちょっと計算してみました。

予選においてはほとんどのドライバーが約100kmの走行をしている。通常モードのオイル消費量は最大0.2ℓと言われているため、燃焼できるのは0.4ℓとする。

オイルを燃焼させたい時は、燃料流量が上限となる100kg/h(10,500rpm)以上だと推測し、オイルが10kg/hを作り出し、合計燃料流量が110kg/hになったと仮定する。

  • オイルは1ℓ=約0.85kgとする。
  • オイル0.4ℓ=0.34kg
  • 10kg/h(時間)=0.0028kg/s(秒)
  • 0.34/0.0028=121秒

0.4ℓのオイルを流量10kg/hで使用した時は、約121秒間使えるとなる。

開幕戦オーストラリアGPのアルバートパークサーキットはフルスロットル70%であり、2018年の予選は約81秒であった。81秒の70%は約57秒間であるので、2ラップはオイル燃焼モードで走る事が可能となる。

適当に数値を決めたら丁度よく、Q3で走る2ラップ分になりました。

この計算ではオイル量が多すぎるのかもしれないですね、オイルもガソリンと同じだけ熱量は持っているので、約9%アップは大きすぎたかもしれません。

※以下追記19.2.10

予選時のオイル使用量ついては0.6ℓ/100kmではなかった。オイルの補充が禁止(2018)+補助オイルタンクは空(2019)となる。流入量さえ制御出来ればかなりの量が使える事になる訳ですね、FIAは何してんだろ?穴だらけなレギュレーションですよ。

レッドブル・ホンダ・ルノーあたりはより的確なレギュレーション改正を求めているが、FIAからの回答は未だになされていない。