https://www.racefans.net/

ウィリアムズは、2020年ポイントを獲ることが出来なかった、たった一つのチームとなった。

慢性的な資金不足で、創業家のウィリアムズは昨年のイタリアGPをもって、経営権を手放した。それでも歴史あるチーム名は残りF1参戦を続けている。

2021年が開幕、昨年同様ラッセルが巧みなドライビングで予選15位、決勝14位となりまずまずの結果を残している。今年はポイントを獲ってもらいたいと願っているのだけど、マシン的にはハースより上な9番手である。

メルセデスという最強のエンジンを持ちながら、下位低迷を続けるウィリアムズ、その理由を紐解く。

Sponsored link

パワー上昇に比例して下降する成績

順位 ポイント
2014 3 320
2015 3 257
2016 5 138
2017 5 83
2018 10 7
2019 10 1
2020 10 0

ウィリアムズは、パワーユニット初年度にあたる2014年からメルセデスエンジンを使用し、その恩恵を受けて、好成績を上げています。

今では信じられないほど、上位で争うプライベートチームだったのです。ランキングが上位であれば分配金も増え、マシン開発に投資できるので、高価なメルセデスPUを使う事は理にかなった選択でした。

 

ガラッと変わったのは2017年のマシン改革でした、幅の増加、空力開発エリアの増加に伴い、ランキングこそ5位ですがポイントは大幅に下がっています。

そして2018年、2017年からマシンの大きなレギュレーション変更が無かったにも関わらず大失敗、他のチームがパワー面で追いついてきた事も関係し、一気に最下位転落となっています。

 

パワーは2014年が850hpぐらい、今では1,000hpとなっています。パワーが上がればそれを路面に伝えるためのマシンが必要になる、ホイールベースやダウンフォース発生量は、それに合わせて変化させなければなりません。

それを出来ていないのが2017年からのウィリアムズです。

大きく重いギアボックスケース

https://www.racefans.net/

ウィリアムズの最大の弱点は、大きく重いギアボックスケースです。ギアボックスはリアの空力に大幅な影響を与えると共に、ホイールベースを決定づけるパーツです。

ホイールベースは、短い方が旋回性は上がりますが、パワーをより多く使うためにはある程度の長さが必要です。F1においては、グランドエフェクト効果を増やすためにフロアの長さが重要になっており、長くないとフロア面積を増加出来ません。(ウィリアムズが現在一番短いホイールベース)

 

 

https://www.auto-motor-und-sport.de/

上画像は2020年ウィリアムズのギアボックスです。下画像は2018年型ですが、変わってない気がします。

 

 

比較用に下画像は2019年メルセデスです。

https://f1i.auto-moto.com/

他チームがカーボン製ケースなのに、ウィリアムズは延々と金属製を使用しています。重いものは出来るだけ車体中心へ、各部を軽量化して適切な位置へバラストを置く事が出来なくなります。

フロアダウンフォースを増加させるために、ディフューザー上面のフローを増加させる事も出来なくなっており、冷却に関係する内部フローも広い幅が邪魔をしてリアカウルを大きくしなければなりません。

ギアボックスケースの改良が出来ないせいで、2重苦3重苦にもなっているのが現在のウィリアムズです。

まとめ

2017年にメルセデスからパディ・ロウが移籍してテクニカルディレクターになりました。てっきりメルセデスからギアボックスを購入すると思っていたのですが、しませんでした。

チームとしてギアボックスの製造はプライドが許さない、そういった内容だったと記憶しています。

 

しかし、この全く変わっていないギアボックスを見ると、単純に資金的に購入を断念せざるを得ない状況だったのは無いかと思われます。

ギアボックスはただ取り付けただけでは機能しません、それに対応した空力、重量配分、サスペンションジオメトリーの変更などあらゆる事が一から作り直しになってしまいます。

収入ではハースやフォースインディアより多かったはずなんだけど・・・返済も多かったのかな?

 

2022年よりメルセデス製ギアボックスを使う事が決定していますが、2018年あんなに低迷する前に出来ていれば、こんな事にはなっていないでしょう。

 

今年はサイドポッドを極端に下降させ、ダウンウォッシュを増やし、なんとかディフューザー上面のフローを増やそうとしていますが、空力全体が敏感になり、風の影響を大きく受けとても乗りにくいマシンになっています。

それでも最大ダウンフォースを優先、ピンポイントでポイントを狙うと考えているようです。

 

ハースは論外だとして、アルファロメオは一歩前へ進んでしまいました。なんとか大荒れの舞台で生き残り、ポイントを獲得してほしい。

来年が最大のチャンスなのはわかっていますが、こんな状況でもコンストラクターズチャンピオン回数9は、伊達じゃないってところが見たいですね。