2023年ハンガリーGPにはレッドブルがサイドポッドのアップデートを投入した。

アゼルバイジャンで改良したサイドポッドを更に進化させています。

 

ボディ形状によって作り出される気流は、様々な効果をもたらします。

とりわけサイドポッドの前方下側はアンダーカットと呼ばれ、そこで纏めれた気流はマシンサイドの空力に貢献します。

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レッドブルRB19のアップサイドインテーク

サイドポッドのインテークが前から見ると面積が小さくなっているため凄いみたいな言われ方をしていますが、上方の吸気面積が拡大したに過ぎない。

 

フロントウィングで発生する上昇気流は、サスペンションアームのエアロデザインによって下降気流に変わる、その上にある大気が下降してきてインテークに乱れの少ない気流を導く事が出来る。

とは言えフロント周りで乱された気流が無い訳ではなく、インテークで乱れた気流を取り込む事でボディへ良質な気流を導く事にも繋がるだろう。

 

インテークの上部ラインが後退し横幅は増加、以前よりも広い面積で空気を吸気するようになっています。

レッドブルRB19のサイドポッド

サイドポッド全体は以前よりも大きくなっている部分が多い、横幅が増加したところや後部の頂点が上昇している。

アンダーカットラインの青矢印辺りは以前よりも内側へ移動しています。

サイドポッドの側面上部は少し凹んだ形状でしたが、以前よりも立っていて壁のようになっています。

 

アンダーカットで気流を纏めて、走行速度よりも速い気流をフロアエッジ後部へ導く。

 

エアスリットやリアタイヤとディフューザーの間に流す気流を強く安定させる事が出来ます。

路面とフロアのエアカーテンの力が強まり、低中速域で車高が高くなる時に威力を発揮する。

 

アンダーカットはフェンスのような密閉に近い空間ではないので走行速度よりも劇的に速い気流は作れませんが、少しでも速くしたいという意図を感じる事ができるアップデートです。

アップサイドインテークはなぜ機能するのか?

空気を正面から入れるのでは無く、吸い込み効果を上手に使っています。

インダクションポッドやサイドポッドから入る空気は、全てエンジンカバーによって纏められいます。

 

各ラジエーターを通った気流は走行速度よりも遅くなる、遅い流れ(正圧)は速い流れ(負圧)に引き寄せられます。

レッドブルのルーバーは内部気流大きくカーブして停滞する所に開けられており、ボディの流れによって引き出される。

 

これはエンジンカバーの開口部にも同じ事が言えます。

エンジンカバー周りの特に上部はダウンウォッシュによる速い流れがあり、それによって引き出される。

加えてインダクションポッドによるセンタークーリングの冷却空気排出の力は強く、エンジンカバーによる合流でサイドポッドからの流れを引っ張ります。

 

引き出し効果はアップサイドインテークの吸い込み効果を増加させます。

 

新しいエンジンカバーは高さが増加し、急な角度で下がっています。

サイドポッド上部の後方も角度が急になりダウンウォッシュによる速い流れを増加させています。

 

このようにサイドポッドのダウンウォッシュを変更出来る事、エンジンカバーの高さを変更出来る事、ビームウィングの高さを変更出来る事。

これらの事実によりディフューザー+ビームウィングとリアウィングは繋がりと言う面で切り離されており、DRSの開閉によってマシン後方下側の気流の変化は少ないものだと言う事がわかります。

レッドブルのリアウィングはその形状のみでDRSスピードデルタを作り出している、それが事実です。