ホンダがスペック3と位置付けているICEを本格稼働させる今回はかなり期待しています。スペック2より約30馬力の上乗せがあると言われていますが実際のところどの程度なのかがポイント。
ストレートは多いですが、それほど長くないのでピークパワーよりは低中速回転域での改善がもっとも重要となるでしょう。
ホンダレーシングF1のオーストリアGPブレビュー⇒http://ja.hondaracingf1.com/2017/index/austria-gp-reports.html
以下引用文となります。
長谷川 祐介 株式会社本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「レッドブル・リンクは、オーストリアの緑豊かな山々の合間に位置する美しいサーキットです。コーナーがわずか9つしかなく、シーズンの中で1周のラップタイムが最も短いトラックですが、いくつかあるハイスピードコーナーでのミスは命取りになりますし、ドライバーには高い技術が求められます。
また、パワーユニット(PU)について言えば、このサーキットがある700mと言う標高が問題になります。高地で空気が薄いために、ターボなどへの影響を考慮したセッティングが必要ですし、エネルギーの回生効率についても平地とは条件が変わるので、その意味でPUへの負担が大きいサーキットと言えます。したがって、効率的なエネルギーマネジメント戦略がキーになってきます。
先日のアゼルバイジャンでは、McLaren-Hondaにとっての今シーズン初ポイントを獲得し、チームに明るい雰囲気が広がりました。また、金曜日にフェルナンドのマシンでテストを行い、パワー向上を確認できたスペック3のPUを、オーストリアで2台のマシンに搭載します。バクーで得られたデータを元にさらにマッピングを熟成し、競争力の強化を図ることができていると思うので、今週末のパフォーマンスを見るのを楽しみにしています。
直前まで開発の手を止めることなく、ベストな形で週末に臨みますので、皆さんにいいレースを見せられればと思っています」
フェルナンド・アロンソ
「バクーではレースを心から楽しむことができました。我々のパフォーマンスは、マシンパッケージの強さを示しただけでなく、メカニック、エンジニア、ストラテジストらチーム全員が戦う姿勢を持っており、どんな状況でもチャンスをものにする準備ができていることも証明できました。2ポイントは、あれだけ過酷な週末を乗り切った報いとしては少ないかもしれませんが、レース後にも言ったように、これをさらなる前進への力としていきます。
今週末のオーストリアGPは、ここ数戦のようなパワー型のサーキットではなく、我々のマシン特性がスピルバーグのコーナーに合っているので、見通しは明るいです。全開でプッシュできると思います。
また、マシンも進歩しており、Hondaはアゼルバイジャンのフリー走行でテストしたスペック3のPUを導入してくれます。マシンの持つ力すべてを引き出し、ポジティブな週末になることを楽しみにしています」
ストフェル・バンドーン
「すばらしいサーキットで開催されるオーストリアGPが楽しみです。ここには多くのオーバーテイクポイントがあり、接近戦による予想外の結果が待ち受けています。また、ロングストレート中心のカナダやバクーと違い、ここは我々のパッケージに合っていると思います。
前戦でポイントを獲得できたことは、チームのモチベーションや士気にとってとてもよかったので、オーストリアではさらに進歩できるよう願っています。毎回のレースでアップグレードを持ち込んでおり、今週末はサーキットとの相性もよさそうなので、トラブルなく過ごすことで勢いを増していけると思います。
もちろん、今が望んでいた位置ではありませんが、オーストリアでの好結果がチームにさらなる力を与えてくれるはずです」
エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
「遠征となるフライアウェイレースを終え、ヨーロッパに戻ってパッケージの開発に取り組めるのはいいことです。アゼルバイジャンのレースは非常に盛り上がり、さまざまな話題も呼びましたが、オーストリアでも再びスリリングなレースをお届けできればと思います。このサーキットでは接近戦となるいいレースになるでしょうし、モントリオールやバクー、そして次戦のシルバーストーンのようなロングストレート主体のコースよりも、我々のマシンに合っていると思います。
実際に、昨年のレースではジェンソン(バトン)が雨の予選で3番グリッドを獲得し、レースでも6位に入賞しました。我々はシーズンを通じて開発の手を止めていませんし、アゼルバイジャンの結果は心から祝えるものではありませんが、方向性は間違っておらず、チャンスがあればいつでも活かせることを示したと思います。
オーストリアGPに照準を合わせて開発してきたものがありますし、Hondaのスペック3のPUも投入されます。中団グループの中で戦い、さらにもう一歩前進できればと思います」
まとめ
今年初とも言うべきポジティブなコメントばかりになりました。ホンダのスペック3エンジンへの期待が高まっています。
パワーを反映させた仕様にてシミュレータ作業を行っているはずですのでその辺りのデータからこのようなコメントに繋がっていると思われます。
レッドブルリンクは全開率66%で燃費は1周1.7kgとなっています。71周×1.7=120.7kgとなり、燃料は約15kg足りない事になります。約12%の燃費走行が必要となります。
昨年はバトンが予選3位から一時2位を走り、最終的には5位入賞をしている。スタート順が良ければ良い位置をキープできるサーキットです。
今回は両ドライバーともグリッド降格は無いはず、トラブル無く走り切ってほしい。そしてホンダのパワーアップで中団トップの速さになっていれば最高だ。