2023年大躍進を遂げているアストンマーチンAMR23ですが、カナダGPに大幅なアップデートを持ち込んでいます。
特徴的なサイドポッドのスライダーに変更が加えられ、フロアダウンフォースに影響を与えるフェンスが大きく変わった。
どのような変更、どのような効果を期待したものなのか解析していきます。
アストンマーチンAMR23のサイドポッド
サイドポッドとフロアエッジ間の凹みのような空間が広がっている。
ここはRB19の模倣ですね。
アンダーカットの後端はかなり内側に移動させています。
サイドポッド後端とディフューザーの結合部分は少しだけあった引き込みラインがほぼ無くなっている。
冷却用空気の排出口は少し下がっている。
スライダーの始まるポイントが後方に下がり凹み部分の体積が減少、ドラッグを減少させるでしょう。
旧型はこちら↓
アストンマーチンAMR23のフロービズ
フロアエッジを全体的に押さえつける様な流れが確認でき、フロアエッジエアロシールの効果が高い事が伺えます。
アストンマーチンAMR23のフロアフェンス
見た目で大きく変わるサイドポッドに注目が集まるがフロアフェンスも大きく変わっています。
こちらが本命で今回のアップデートはフロアダウンフォース改善が主だったものです。
フェンス中央部の高さを増加させた。(モノコック下まで)
フロア下に導く空気量を増加させた事になり、ダウンフォースを増やす為の改良になります。
元々、①ベンチュリートンネル直通路は入口面積が狭く、流れる空気量が少ない設定です。
アップデートで高さは増加させたが横幅は縮めており、その空気量の設定はほとんど変えていないようです。
ここで重要なのは②に入る空気量が増加している事です。
かなり広い設定になっているのがわかります。
内側フェンス路面側には、気流の乗り越えを促進する曲線が付けてあります。
内側フェンスの役割はRB19の解析でも説明した通り非常に重要です。
- 路面とフェンスで発生する負圧の増加
- フェンスで発生するボルテックスの増加
- ②の力が強まる事で①を引き込む力も増加する
- ②から①トンネルへ戻す気流が増加してリアの負圧が増加する
2022 RB18のフェンスアップデート履歴
低かったフェンスの高さをバクー(22.6.10)でアップデート
オーストリア(22.7.8)ではフェラーリのように内側フェンスの下側をカットした。
フランス(22.7.22)でRB18のほぼ最終型になっている。
まとめ
昨年のレッドブルRB18初期型に近かったフロアフェンスを、RB18最終型に近いものにしたような感じです。
新しいサイドポッドはリアディフューザー上面の上昇ラインで発生する不要な正圧の減少とドラッグ削減を実現するでしょう。
そして、フロアエッジエアロシールの強化は、リア車高の自由度を上げます。
ドラッグの少ないダウンフォースはフロアで発生するものです。
リア側の負圧だけを増加させるのでは無く、フロント側も増加させる、バランスが大事です。
カナダGPでアロンソには燃料のセンサー問題が発生、大事を取ってリフト&コーストを増やしラップタイム0.2秒を犠牲にした。
それだけでレッドブルに挑戦できる力があるとは思えないけど、追いすがるメルセデスやフェラーリを一歩突き放す事は出来そう。
レッドブル2台に何かあれば優勝できるポジションにいる事が、アストンマーチンに待望の勝利をもたらす事に繋がる。
2023年の期待はその一点です。
レッドブル1台に何かあれば、もう1台は実力で上回れるような気がしますね。
そのくらいには接近してきている感覚です。
マックスのチームメイトであるペレスがスランプに陥って調子が上がらない事から、マックスの直接ライバルとなり得る可能性が高まってきたアストンマーチンのアロンソですね。
今シーズンF1でマックスとペレス以外に優勝する第3のウィナーが、
アロンソを筆頭にメルセデスのハミルトンとラッセルにも可能性が出てきた(少なくとも表彰台2位のポジションには手が届く)
マックスのタイトル3連覇にストップを掛ける(簡単には取らせない)のは果たして誰になるか?
同じメルセデスPUを使うカスタマーのアストンマーチンとワークスのメルセデスとの争い(コンストラクター)にも注目しています。
そのためにエースNo.1のアロンソだけでなくストロールにも奮闘して貰わないとダメですが?
AMR23の上部後方画像で、インダクションポッド後部シャークフィン付近に切り欠き穴が設けられていますね。
センターラインクーリング用冷却排出口を増やしたためでしょうか?
アルピーヌA523の場合には切り欠き穴では無くルーバー風になっていますね。
サイドポッドからのキャノンデッキ型排出の後端を下げました。その分を補う為です。
ハローの取り付け部分付け根(イグニションカットのEマーク有る箇所)に燃料の注入口(右側のカバー蓋が外されていますね。左側はカバー蓋が付いている)有りますね。
全てチームマシン同じでしょうけれども、片側(右側)から燃料を注入して片側(左側)からエアー抜きするかと思いますが?
現在レース途中での燃料給油は行えませんが、
ピットストップで給油が出来るようになれば左側と右側、どちらからでも燃料給油のホースを差し込む事が出来ますね。
上から見ると綺麗に流れの役割が分離されているがわかりますね。
①ボディセンターのハロの付け根の乱流処理 & 排熱
②スライダーのビームウィング & ディフューザー上面
③ボディ側面のフロアシール & ディフューザー側面への流れ込み
こうすることによって各部アップデートが別のセクションへ影響を与えないため、トライアンドエラー開発で小さなパフォーマンスの積み重ねに繋がるんでしょうね。