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アストンマーチンAMR23は、2022年4月にレッドブルから移籍してきたTDダン・ファロウズが手掛けたマシンです。

ジャガーレーシング時代から現レッドブルレーシングに長年関わってきた彼の経験と知識が生かされています。

元々は2021年から新規定導入だったので6月の移籍発表時には、彼の頭の中で空力のみならず全てが構築されていたのだと思います。

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アストンマーチンAMR23とRB19のサイドビュー比較

比較するため今回の画像の条件は、奥のフロントタイヤがあまり見えない事、これによってアングルは近い状態になります。

コクピット背面とヘイローの先端距離(規定上同一)を合わせる。

アストンマーチンのフロントアクスル位置はレッドブルのようにバルクヘッドの最先端ではありません。

メルセデスPUとギアボックスの関係があるので、コクピット後ろにスペースが必要なのでしょう。(メルセデスほど胴長ではないですが)

アストンマーチンAMR23とRB19のトップビュー比較

フロントノーズとフロントウィングのバランスは似ています。

ノーズと最上段フラップが交わる位置はほぼ一緒かな、その為ノーズ付近のウィング前後長はAMR23の方が短くなります。

 

特徴的なスライダー型サイドポッドが目立ちます。

スライダーを流れる空気は、ディフューザーの上面へ乱されない安定した空気量を導く事が出来ます。

 

この流れはフロアとディフューザー下面の空気を引き出す為に機能します。

安定しているのでフロアのダウンフォースを安定させる事に繋がります。

アストンマーチンAMR23のサイドポッド

マシンサイドとフロアエッジ辺りを守るようにそびえたつサイドポッドの壁、流れを完全に分離管理しているのがわかります。

広いアンダーカットで纏められた空気が行き着く先は、リアタイヤとディフューザーの間です。

 

 

リアタイヤと路面に挟まれ乱れた空気の流れはディフューザーの機能を低下させます。

F1業界用語で tyre squirt (タイヤの噴出)と呼ばれるものです。

タイヤの噴出をディフューザーに出来るだけ近づけないようにする為、フロアエッジ上面から強い流れを導く事が必要です。

フロアエッジ下面にも同じような強い流れがあり、フロアエッジを挟んで上下の強い流れでこれを防ぎます。

 

アウト側にはフロアフェンス辺りから流れを導き、出来るだけ外側へ遠ざける事も重要となります。

 

ロングサイドポッドの優れた点は、フロアエッジで作った強い流れをディフューザー上面に引き込まれないように出来る点です。

まとめ

AMR23のサイドポッドは上も横も流れを固定化し安定させる事で、

ディフューザーの機能が安定化→フロアのダウンフォースが安定化→車高変化に強いフロアダウンフォースが構築出来る点にあるでしょう。

 

2022年からの空力はボディ形状の見た目通りに流れる(きちんと流れているかは別として)、非常に分かり易いものになっています。

2021年まで使われていた多くのボルテックスジェネレーターやエアロフィンが排除された事によって、ボディを使って流れを作る事が必要になっています。

 

見た目通りに分かり易い空力コンセプトのAMR23です。

 

 

まだまだトップチームには及びませんが、ベースラインとしては非常に強いマシンです。

マシン内部がはっきりとわかる画像が少ないので多くを分析できませんが、ラジエーターなどのデザインはトップチームに及びません。

マイクロナノ技術と金属3Dプリンター技術など、内部パーツの洗練化が今後の鍵になります。

 

今後の開発であらぬ方向へ行かない事を願っています。