2015年F1の第4戦バーレーンGP決勝で一番輝いていたのはフェラーリのライコネンであることは間違いなかったと思います。
- ライコネンのタイヤがなぜあそこまで保ったのか?
- メルセデスがレースペースで苦労した訳は?
- ベッテルが焦ってしまった理由は?
私的観点から紐解いていきたいと思います。
ライコネンは決勝ではスタートダッシュに成功してロズベルグを抜いています。しかし4週目には簡単にロズベルグに抜かれてしまいました。そしてライコネンのとった行動は不用意に再度ロズベルグに仕掛けなかった事です。
前走者を抜くために接近しダウンフォースを失うこととレコードラインを外すことでタイヤを傷つけるのを避けたためです。ユーズドソフトタイヤを最大限生かすためのドライビングに切り替えていました。
その証拠に第1スティントでの終盤ベッテルの後ろに迫る事に成功しています。ベッテルはハミルトンを追うために序盤からプッシュしていました。そしてロズベルグに抜かれポジションを取り返すために再度プッシュしタイヤを早々に痛めてしまった。
ベッテルはポジションの回復ため早めにタイヤ交換(16周終了時点)してラップタイムを急上昇させアンダーカットに成功し、再度ロズベルグの前に出る事に成功していますが、第2スティントでまたもロズベルグに抜かれます。
ライコネンは第1スティントのユーズドソフトタイヤ(3周使用)で20周走行しほとんどのドライバーがソフトタイヤに交換するところで新品ミディアムタイヤにしました。これがズバリ的中しました。ソフトとミディアムのラップタイム差が約2秒と言われている中、ソフトと同等のラップタイムペースで周回したました。
これはタイヤの作動温度が関係していると思われます。ミディアムの方がソフトより低いので日が落ちたバーレーンのサーキット路面温度にあっていたのでしょう。しかもデグラデーションも少なく最終のソフトタイヤの走行を短くするために十分なアドンバンテージを得ます。
ベッテルは2回目のタイヤ交換でもアンダーカットに成功してロズベルグの前にでますが最終コーナーの立ち上がりでミスしてロズベルグに簡単に2位の座を明け渡してしまいました。コース上で2回も抜かれていたため後ろにつかれるのを嫌い焦ってミスってしまったんでしょう。ベッテルらしからぬミスでした。
最終スティントでのライコネンは軽くなった車体でソフトタイヤの性能を最大限引出します。
作動温度が高いソフトタイヤに対するドライビングに切り替えていました。タイヤの温度を上げるためには摩擦抵抗を増やさなければならないのでコーナーを攻めこむ事が必要になります。そして先行するメルセデス2台よりも1秒~2秒速いペースで追い上げていきました。
ロズベルグが1コーナーでオーバーランしたのを見逃さずに抜き去り、そのあとハミルトンにも追いつけそうなそうな展開でしたがチェッカーフラッグとなりライコネンは2位となりました。あと2周あったら優勝していたかも・・・。
今回このような決勝でのレース展開になったのはフェラーリのタイヤマネージメント能力の高さだけでなくメルセデスの空力セッティングも影響している気がします。今回メルセデスはストレートスピードで最速になるようにドラッグを調整していました。
コース上でフェラーリを追い抜けるけれどダウンフォースがいつもより少ないためにタイヤの痛みが激しくなっていたんです。これにより終盤にペースの落ちたメルセデスにソフトタイヤで怒涛の追い上げを見せたライコネンが迫ることができたのではないかと思います。
タイヤにやさしいマシンフェラーリとタイヤに優しいドライビングスタイルのライコネンは今後も決勝レースでいい走りを見せてくれそうです。