今年はフェラーリPUのパワーアップの謎に迫る事が多くなっている。ホンダファンの皆さん申し訳ない、しかしこの謎を解決しなければトップに立つ事は出来ないだろう。
外野の私たちが果たして何処まで迫れるのか?とりあえず現在のERSの稼働について紐解いていきます。
パワーユニットERSエネルギーの流れ
絵心が無いので過去にルノーで公開されていた図に流れを書いてみました。
電気エネルギーが繋がっているのはES(充填状態最小と最大の差が4MJ)、MGU-K(120kw:上限50,000rpm)、MGU-H(無制限:上限125,000rpm)となる。
Hの出力については無制限だが、60~80kwが相場のようだ(世良さんのホンダ取材記事より)
- ES⇒Kはラップあたり4MJ
- K⇒ESはラップあたり2MJ
- Hは双方向に無制限
ここで注意点としてはラップあたり4MJしかKに送れないとする勘違いと、4MJしか充電できないと言う勘違い。ESは充填状態の差4MJ内であればいいのだから。
フルアクセル中に排気タービンの回転によりHで発電されたエネルギーが120kwのKの稼働条件を満たせば、直接送りES⇒Kのエネルギーは必要なくなる。この稼働については結構早い段階で移行されると思われる。
現状コンプレッサーのブースト圧は最大約5barまで上昇していると思われるが、大気圧の5倍となり1,600ccのエンジンはNA8,000ccのエンジンになると解釈できる。この5barのブースト圧を維持しつつHの発電エネルギーによってKの163psを維持する事が長いストレートに求められる事になる。
またKの稼働はアクセル開度が全開になってから行う、ドライバーがアクセル調整しているコーナリング中に稼働させれば0回転から最大トルクが発生するモーターの特性により瞬く間にホイルスピンしてしまうだろう。
2017年ベルギーGP予選:ホンダERSの稼働状況
以前ホンダのERS進化についての記事で参考にさせていただいた雑誌には、KやHの稼働についてのテレメトリー詳細がホンダより提供されていました。
引用元:Motor Fan illustrated特別編集 Motorsportのテクノロジー 2017-2018
オレンジが2016年、ブルーが2017年の稼働状態を表しています。
Hのグラフが下に張り付いているのが回生をしている時で、Kのグラフは上に張り付いているのがフルパワーで稼働している時になります。この時のESのエネルギー状況が、わからないがそこは最重要な機密事項だからでしょう。
2016年のケメルストレートエンドではKのパワーが少しダウンしています。またスロットル開度やギアポジションを見るとコーナー区間では1段階上がり、2017年の全開率の上昇がわかります。
2017年ではこれだけ長いストレートでKの163psのパワーは、苦戦しているホンダでさえ切れることなく稼働しているのがわかる。エンジンのクランクシャフトにKは固定された減速比で繋げられる、よって路面に伝わるパワーはエンジン+Kのみである。
フェラーリのパワーアップはデプロイが優れているから?
フェラーリは現在ESを仮想的に2分割にして使用していると言われているが、おそらくH専用・K専用となっていて更にその二つのエネルギーを相互にやりとりする事ができるだろう。それにより他のPUよりデプロイが優れているとされる。
以前まとめたホッケンハイム・パラボリカにおけるアクセル全開区間の速度の伸びをもう一度確認しておきます。
この区間においてKのデプロイ切れを起こす事はメルセデスや他のPUについてもありえない事だ、デプロイが優れているからといって路面に伝えられるパワーはエンジン+K(163ps)であるので、フェラーリは明らかにエンジンパワーを上げている事になる。
エンジンパワーを上げるためには何が必要か?
エンジン(ICE)についてはフェラーリやメルセデスは行き着くところまできていると思われる。これ以上の燃焼効率アップのよる大きなパワーアップは望めないだろう。
以前私はHによるコンプレッサーを動かすEブーストをアクセル全開時も行い、排気の力によるタービンの回転数よりも上昇させブーストアップを図ると想像しましたが、タービン回転数は規制により125,000rpmが上限。
コンプレッサーを強制的に回すEブーストを行い、ブーストアップではなくブーストの維持をした時、直結されたタービンも同時に回転する、排気は強制的にHにより吸い出される事になる。つまりはエキゾーストにあるタービンの排気抵抗が減る事で単純にエンジンパワーが上がるだろう。
この時の注意点としては排気抵抗を減らしすぎてはトルクが落ちすぎてしまう事、ターボエンジンはタービンが排気抵抗を作り出すものであるので、そこは緻密な回転数の制御によって調整できる。フェラーリのESは仮想的に2つ有り、KとHにエネルギーを同時に供給できる事から可能な技術となる。
まとめ
今回、私が言いたい事はデプロイが優れているからフェラーリは速いみたいな事を言うジャーナリストが多いのが悲しいと言う事と、ラップあたり4MJのエネルギーしかKに送れないと思っている方が多すぎるという事(Hから直接送れるから)。
確かにコース全体や決勝におけるペースを考えればデプロイが優れていれば優位になるけど、予選の一部のアクセル全開区間で大幅なパワーアップを果たしている事の説明がつかない。如何にフェラーリと言えどレギュレーション違反を侵すような愚かな事はしない。
メルセデスが疑惑に思うKのパワーを一時的に上げるとかは出力規制があるので不可能、FIAによってクランクシャフトに伝わるトルクが監視されているのだから。
F1パワーユニットの技術動向:ジャーナリスト世良耕太さんの説明が非常にわかりやすい。
フェラーリは実に面白い市販車用特許出願を行っている。タービンとコンプレッサーを完全に切り離しどちらもモーター稼働するものだ。これは現在のF1技術に非常によく似ている。
https://www.enginelabs.com/news/ferrari-files-for-an-electric-turbocharger-system-patent/
ほんと某有名サイトのコメント欄などを見てもホンダは回生やデプロイが足りてないとか書いてる人が多いですね。電欠してますよ~ランプがそんなにフラッシングしてましたか?と問いたいです笑
ここんとこずっと気になっていたのですが、フェラーリだけ排気音が違う気がします。フルスロットル時の他のPUは如何にもターボエンジンでタービンがフル稼働してますよ~MGU-Hも回すから無駄な排気は無いのでウエストゲートは開放しませんよ~的な「パオーン」サウンドなのに対してフェラーリはウエストゲートを開放してる時のきったない音の濁点が付きそうな「グゲェェェーーーーーー」というような音で走り去ってる気がしていました。回転上昇のあるポイントから音が変わるのでウエストゲートの音だろうなと思ってたんですが、今のPUはそんなにウエストゲートから排気を捨てることは無かったはずなのにな~っと疑問でした。後方からの映像だと良く分かります。
これも関係あるのでしょうかね?はたまた僕が耳が遠くなったのか・・・・・。
耳音痴な私にはわからない事だw
そういえば音の周波数を解析するフリーソフトがあるんですよね。
いじくる余裕があったらやってみようかしら。
ハンガリーの最終コーナーからの脱出のバックショットで見ると良く分かりますよ!
ドイツの1コーナーの全開の件は川井ちゃんが言ってた事もそうだと思いますし、ICEで50馬力劣っていたらそれもまた全開でイケちゃうんぢゃね?と思って見てました。
フェラーリの特許の情報ありがとうございました。フェラーリのパワーアップの謎解きゲームは興味深いですね。ルノーのエンジニアの話ではMGU-KとHは伸びしろが限られているので残りはICEの進歩で差をつけるしかないと言っていましたが、ライコネンとベッテルのICEのバージョンが違うのに効果が出ているようなので不可思議です。ターボのオイルを燃やしているという噂があってメルセデスがFIAに確認したらしいですね。ホンダの人は単にICEのモードに松竹梅があって最近「松」モードが使えるようになったのではないかと言っていましたが、私は最近のフェラーリのエンジンが掛かった後の煙が気になって仕方ありません。
川井さんがルノーは直線最後までデプロイがもたずノーブレイキでコーナーに入っていく
フェラーリはデプロイが切れず加速するのでコーナー入る前にブレーキを踏んでるみたいな
こと言ってたようですが
ルノーのレミ・タファンが我々は時にエネルギー切れを起こすと川井さんの解説を
裏付ける発言をしてますね
フェラーリが他チームとは明らかに異なるエネルギーマネージメントをしてて
しかもそいう使い方でもデプロイが切れない謎だということらしいです
GPニュースで川井さんが言ってましたね(笑)
ルノーといえど流石に予選時にはデプロイ切れはないと思うので、レースシュミュレーションラップ中だったのか?
ホンダより開発期間が3年も長いルノーがここまで苦労するとは驚きですよ。
フェラーリがメルセデス追い抜いたように、MGU-Hの無制限を絡めた複合ハイブリットにはまだまだ伸びしろがありそうです。
個人的には可変容量バッテリーが怪しい気がします
多めの容量を積んで初期状態を規格値通りの容量にして、パワーが欲しいときに制御プログラムでHのほうに余剰エネルギーを振り分けているのではないでしょうかね。
バレないように帳尻を合わせられるのかはちょっと疑問ですけどw
いつも楽しく、見ております。
単純な質問で申し訳ございません。
デプロイよりも、MGU-Hのパワーでターボを回した方が確実に素早くターボラグなくパワーが出ると思うのですが、間違いでしょうか?
難しく余り分かりませんが、素朴な疑問です。
Hでターボを回した方が速いです。アクセル開度0からでは確実にEブーストは起動しています。
ホンダのテレメトリーデータでもギアを上げるたびにグラフが上に振れているところがEブーストですね。
コンマ何秒での起動となっています。
スパは全開率70%で本当にフルスロットルなのは57%とメルセデスは公表しています。ファーステストラップ106秒において60秒はフルスロットルである。
60×120kw=7,200kj=7.2mjとなり、Kは2mjしかESに送れない。Hによって5.2mjのデプロイがなければ163psをフルに使えません。
そのためにEブーストは極力使わない設定となってます。
昨年ベルギーで終盤テレメトリー表示にES⇒Kへの使用を示すゲージがでていたのですが、1周約75%ほどでした。決勝ラップにおいてはES⇒Kは3MJほどしか使用できない状況となっています。
Hでの抵抗損失よりもKの163psを使った方が速いって事ですね。
フェラーリのGPS情報解析していた記事を見ました、最高速度は変わらないが時速225km/hからの加速が異常に良いというような感じでした。
最高速はそれほど変わらないのに一番多用する速度域で速いってことは、もしかしたら管理人さんの推察通りスーパーチャージャーモードを持っているのかも知れませんね
こんにちは
ホンダの謎に迫る。特集をを是非
ニュースソースは不明ですが
最近のR&D 浅木泰昭さんのインタビュー記事で
https://plaza.rakuten.co.jp/cleversloth/diary/201808090000/
引用
「フェーズ3の投入に関して、できるだけ急ぎたいのですが、2~3%のゲインでは入れる意味がなく、8%を目標にしています。また今回の開発から基本的なパーツも私が指示をしていますので、相応に結果を出す必要があると感じています。とにかく夏休み明けには是非ともパワーが大きく上がったフェーズ3が持ち込めるようにしたいと思っています」と纏めた。
目標とは言え8%(60馬力?)は信じられない。
メルセデスのパワー向上スピードがだいたい年20KWや25馬力程度で、スペク2から更に60馬力はどこから絞りだせるのか?
カナダの捏造記事とは違い、浅木泰昭さんのいんたびゅーとして不信な部分がなく期待してしまいます。
何この独占インタビュー的な内容は、ソースは雑誌系でしょうか?ざっと有名どころをチェックしましたが見つからず。
目標は目標ですから話半分としても4%で軽く30psですねぇ。壊れてもいい!パワーを見せて我々に安心を下さい。
後半戦に向けて、ホンダはパワーユニットの開発方針をやや変更し、スペック3の投入はシーズン終盤になる見込みだ。
(Mineoki Yoneya)
・・・って記事出てきたけど期待するのは止めといた方が良さそうですね
記事の参照が無いところをみるとアクセス目的のネタサイトではないかと・・・
ホンダの開発情報で信頼できるのは、日本人ジャーナリスト系と、レッドブルのマルコ氏系ぐらいでしょう。
ホンダは絶対公表しませんからね・・・忘れてたYO
引用元のない個人でもできるブログは無視です。
もしかしたらもう誰かがコメントされたかも知れませんが、バッテリーが2個になる事によって片側は充電、片側は放電という風に断続的切り替えれば回生量って1個バッテリー仕様より増えませんかね?イコールデプロイも増えるかなと。そうすれば1周の中でのアシスト時間も増えません?
バッテリーにしてもモーターにしても充電と放電を同時にはできず、どちらか片方しかできませんよね?
でもそれがメルセデスとのパワーの差にはならないんですね・・・。
改めてグラフ見ていて思ったのですが、16年と17年の7速8速のギヤ比違いすぎる。まあ、16年のバクーの車載でなんじゃこのギヤ比って思ってましたけど笑
あといきなり120Kwを放出するばかりでは無くちゃんとバリアブルにコントロールされていますね。
1個よりも確実に充放電同時によるデプロイ量は増加すると思います。
リチウムイオンバッテリーは充放電を同時にする事は可能なようですが、発熱などの負荷が強大なため限界値はかなり低いと思う。
そのため1個の場合は基本的に同時展開はしないはずです。
あとはバッテリーセルの使うところのやり繰りもあるでしょう。最低重量規制はあるが容量規制は無いはず、容量自体は4mjを遥かに超えるが、走行中の差が4mjを超えてはいけないという規制だからです。