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2018年9月にFOMより発表されていた2021年に向けてのF1コンセプトマシンと主な概要をまとめておきます。焦点となっていたパワーユニットの大幅変更は参戦中のメーカーによりMGU-H存続の方向へ舵が切られたようだ、そして新たな参戦メーカーとして筆頭候補だったポルシェは参戦計画を断念するとの見解が示されている。

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2021年F1コンセプトマシン

主な変更点はボディ表面の空力パーツの減少、特にボルテックスジェネレーター(渦流発生装置)の排除がやはり焦点となっている。そしてフロアで発生するダウンフォースの割合を増加させる事にある。タイヤホイールは18インチが採用される。

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ステップドボトム規制には変わりないが、インディカーのようにサイドボックス下面を逆翼状にする事が盛り込まれている。フロントウィング下面も巨大になり、前走者が発生する乱流に影響されないようなデザイン配慮が伺える。

ダウンフォース量に影響するフロアの長さ、これを決定づけるホイールベースにも制限が設けられるようだ。現行マシンはメルセデスが最長3,726mmもあり長すぎる、これを3,400mmを最大値としてFOMは提案しているとの事、実質全チーム同一ホイールベースとなるだろう。

インディカーのフロア

2015年INDY500 プラクティスにて飛んだ時の画像

2021年パワーユニットスペック

参考元:https://www.auto-motor-und-sport.de/formel-1/f1-2021-auto-bilder-infos/

スペック ~2020 2021~
形式 V6直噴ターボ V6直噴ターボ
排気量 1,600 1,600
MGU-H 無制限 無制限?
MGU-K 120kw(163ps) 150kw(204ps)
バッテリー 4MJ 5MJ
最高回転数 15,000rpm 18,000rpm?
燃料流量 100kg/10,500rpm 110kg/12,000rpm
使用燃料量 110kg 無制限

最大燃料流量の増加と回転数を引き上げる事により、音量を増加させる事ができるとメルセデスのアンディ・コーウェル氏はAMuSにコメントしているようです。燃料使用量制限は撤廃されるが、流量制限があるためとスタート時点の重量軽減を目指すため最大でも120kg程度に抑えられるとも言っています。

最新の提案ではMGU-Kを150kwにして、バッテリー充填量の差を5MJにする事、コスト削減のためベンチテスト時間制限も設けられ2021年2,000時間、2022年1,500時間、2023年1,000時間となる提案もあるとの事です。

電動コンプレッサーと排気タービン発電を伴うMGU-Hの変更点は今のところ情報がない。

まとめ

徐々に明らかになりつつある2021年からのF1レギュレーション、最大のコストがかかるパワーユニットについては、ほぼ現状維持が一番コストがかからないとのメーカーの要望が通りそうです。電動コンプレッサーはBMWで市販化もされており、今後の直噴ターボ技術の燃焼効率アップに大きく貢献する事は間違いないだろう。

フェラーリが特許申請したようにコンプレッサー用モーターと排気タービン用モーターを備え、全てを電気エネルギーに変換して全体制御する事は内燃エンジンの生き残る道となっていくと思う。エンジン戦争と言う名の技術開発の場をF1に残す事は私的にも大いに賛成したい。

一方空力面では後退ともとれる内容になっている。テールトゥノーズバトルの復活を目指しているが果たしてうまくいくだろうか?ダウンフォースをフロアに頼るという事は、地面との距離を一定に保つ事が要求される。現状の機械式サスペンション技術が更に高度化されコストアップするようではチーム間の差は開く一方だ。統一規格によるアクティブサスペンション提案はどうやら難しいみたいだしどうなる事やら。

世界最速のマシン、コース上バトルの増加、コスト削減、全てを上手にコントロールする事はF1にとって永遠の課題だろう。