プレシーズンテストにて、ホンダパワーユニット2020型RA620Hは、ストレートエンドのターンイン手前の、エキゾースト音が変わった。

2018年頃からこの音はしていましたが、昨年はもっと静かだった気がする、今年はもう「パンッバリッバリッバリッ~♪」ってな感じ。

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ホンダRA620Hのエキゾースト音

プレシーズンテスト(Day2)に行っていた海外ファンの方の投稿動画。

確かに大きくなったなぁ。

これはターボのアンチラグシステム音ですよね。

オフスロットルにおいても燃料を噴射して、シリンダーを通過させエキゾーストで燃やし排気ガスを発生させる事で、タービン回転数を維持もしくは補助するものです。

アンチラグシステム

基本的なアンチラグシステムは、以下のようなもの。

シリンダーで点火させなかった燃料を、高温のエキゾーストに流して燃やします。この時、酸化剤である空気が足りなくなるので、ラリーカーなどはエキゾーストに直接空気を導く金属チューブが接合されています。

F1ではエキゾーストに空気を導くチューブは違反なので、一部のシリンダーは空気のみ送る事で稼働できそうです。

現行PU規定において、アンチラグシステムは許されてるのか?MGU-HのEブーストがあるのに燃料を燃やして行う利点は?という疑問がわいてくるのですが、ホンダがすでに3年間も行なっていてお咎めがないのだから、オフスロットル時に燃料を使うアンチラグシステムは許可されているのだろう。

2011年にオフスロットルブローイングが問題になった時は、オフスロットル時の排気は最大値の10%以下にしなければならないとテクニカルディレクションが発行されている。

空力効果があるのでは?byイタリア

ゴシップサイトによれば、これは排気を利用して空力的な何かやっていると言っているようです。

https://it.motorsport.com/f1/news/test-f1-red-bull-perche-il-motore-honda-non-e-mai-in-rilascio/4706019/

元はMotorsport.comのイタリア記者が書いたみたい。あっそーか、フェラーリの例の合意問題を逸らす目的か?w

https://www.auto-motor-und-sport.de/

レッドブルのエキゾーストは昨年からリアウィングに近くなるように規定いっぱい高い位置にあるが、ここからオフスロットルで高速のガスを排出できたとして、果たして効果はどんなものだろうか?極微妙にはあるかもしれないが、0.1~0.2秒も短縮できるみたいな大きな数字になるのだろうか?

FIAは2018年ルノーが規定いっぱいまでエキゾーストを斜めに配置した時に、排気の空力利用には厳しく対処していくと発言している。しかし、PUの機能について必要な稼働は許さねばならず、オフスロットルにおける燃料の噴射は少なからず許されている気がする。

このオフスロットル時の燃料噴射に関しては、エンジンマッピング規定が一般公開されていないので、これ以上詳しい事は依然としてわかりません。

まとめ

ホンダの場合、Eブースト使う事よりも通常のアンチラグシステムを選んでいるにすぎない、電力を使うよりも燃料を使ってターボラグを無くす方に何か利点を見出しているのだろう。

そこで発生する排気を利用して、リアウィング効率を上げる事は、規定上は何も問題はない。

2014年から排気を利用できない位置に出口を設けるレギュレーションになっていたが、2017年から斜めに後退させるリアウィングになった事で、排気はリアウィングに多少なりとも利用できる位置になっているのは事実です。

 

凄ーく単純に考えれば、フェルスタッペンに昨年指摘されていたラグ問題の解決策が、アンチラグシステムの強化だっただけなんじゃないか・・。

※追記①:マックスのペダルワーク

マックスのベストラップテレメトリーを見ていて気になる点がありました。

フレームレート30.39(1秒間30.39枚の画像)

これはターン1アプローチ時のものですが、約0.3秒間はフルスロットルとブレーキングを同時に行っている。そしてブレーキング時にはほとんどこのようなペダルワークをしています。

昨年のフェラーリのように若干スロットルを残すまではいかないけど、何かトライしているのではないだろうか?基本的にはエネルギーの回収が目的でしょうけどね。ボッタスも同じようなペダルワークなので、PUにおいては必須な技術だろうけど。

バルセロナにおいては7カ所ぐらいブレーキングポイントがある訳ですけど、0.3×7=2.1秒間は高出力回生を行っている事になります。MGU-K(120kw)とMGU-H(約80kw)をどちらも2秒間回生モードになれば400kJのエネルギーが作れる、MGU-Kを約3.3秒間フルパワーで使えます。

効率の良いエネルギーマネージメントはPUだけでは達成できない、ドライバーのペダルワークをも必要とするのだろう。この事と音はあまり関係しないかな。

※追記②:色々なエキゾーストサウンドDay6

ターン1は(3:40~5:47)メルセデスもパンパンとアンチラグ音がしてますね、ルノーはなんて言うか綺麗だわ。

フェラーリは立ち上がりで、聞き分けがわかりやすいプシュー音してます。(多分Eブースト全開でウェイストゲートを意図的に開けて排気抵抗を減らすフリーロードモードと言われるもの)

ホンダは昨年のブロロッサウンドしてる時もあり、色々なモードを使い分けているみたい。大きな爆発音の時は主に燃料に余裕がある時っぽい。多分Eブーストの消費を抑え、電力をすべてMGU-Kに使うモードと予想。