2018年に向けてホンダのパワーユニットが出来なくてはならない事はなんなのか?レギュレーションの詳細から読み解くことはできるのか?外野の私たちには難しい話ですが、制限がある部分と無い部分に何かしらある事は間違いない。

12月に入ってくだらないゴシップネタに飽き飽きしているが、これといって確たる話題もないのでレギュレーションを抜粋してみました。

JAFのF12017技術規則日本語版PDFリンク

http://jaf-sports.jp/assets/img/regulation/2017f1_tech_reg_ja.pdf

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パワーユニットの主な制限

  • レシプロピストンによる4ストロークエンジンのみ認められる。
  • エンジンの気筒容積は、1600ccでなければならない(+0/-10cc)。
  • クランクシャフト回転速度は15,000rpmを超えてはならない。
  • 燃料質量流量は、100kg/hを超えてはならない。
  • 燃料質量流量は、10,500rpmより下で、Q(kg/h)=0.009N(rpm)+5.5を超えて
    はならない。
  • すべてのエンジンは、6気筒90°V型でなければならず、各シリンダーの正常断面形状は真円でなければならない。6つの気筒すべては等しい容量のものでなればならない。
  • エンジンは各シリンダーにつき2つの吸気バルブと2つの排気バルブを有していなければならない。
  • 過給は、エンジンクランクシャフトに平行なシャフトアッセンブリによって、車両中心線から25mm以内にて、1つのみのシングルステージ排気タービンにつなげられる、唯一のシングルステージ圧縮器の使用によってのみ、発生させることができる。そのシャフトは、シャフトアッセンブリ、圧縮器およびタービンが常に共通の軸について、同じ角運動速度で回転することを確実にするよう設計されていなければならず、モータージェネレーター熱ユニット(MGU-H)はそれに直接連結することができる。シャフトはその他いかなる装置とも機械的につながることはできない。
  • MGU-Kの回転速度は、50,000rpmを超えてはならない。
  • MGU-Kの重量(本規則付則2の11欄に定義される通り)は、7kg未満となってはならない。
  • MGU-Kの最大トルクは、200Nmを超えてはならない。このトルクは、クランクシャフト速度を基準とし、第5条2項2に規定される固定される効率補正が、MGU-K最大トルクを監視するために使用される。
  • MGU-Kの積層厚は、0.05mm未満であってはならない。
  • MGU-Hは、過給システムに機械的にのみ、つなげられなければならない。この機械的連結は、排気タービンに対しての速度比が固定したものでなければならず、つなげることができる。
  • MGU-Hの回転速度は、125,000rpmを超えてはならない。
  • MGU-Hの重量(本規則付則2の13欄に定義される通り)は、4kg未満となってはならない。
  • エンジンの気筒は、18.0を超える幾何学的圧縮比を有することはできない。
  • インジェクターに供給される燃料圧力は500barを超えることはできない。シリンダーにつき1つの直接噴射式燃料インジェクターのみが認められ、吸気バルブの下流あるいは排気バルブの上流に一切インジェクターはあってはならない。
  • 点火は、シリンダー毎の単式点火コイルと単一スパークプラグによるもののみが許される。シリンダーにつき最大5つのスパークが、1つのエンジンサイクルに認められる。プラズマ、レーザーあるいはその他の高周波数点火技術は禁止される。

圧縮比18.0と高圧インジェクター

シリンダーの圧縮比18.0については、たしか2016年に追加された部分だと記憶しています。当時のメルセデス基準での追加規則だったはず。ガソリンターボエンジンはノッキング(勝手に着火する事)を防ぐため圧縮比は低めに設定するのが通例ですが、F1の世界では違うようです。

500barの高圧インジェクターで霧状に燃料を吹き、気化熱でシリンダーの温度を低下させる事でこのような高圧縮比を実現します。

ブースト圧規制無し

ターボエンジンなのにブースト圧規制が無いのもこのF1パワーユニットの特徴の一つですね。ルノーのパワーユニット詳細では最大5barと記載されていて、単純計算で最大限にブーストをかけた時はNA8,000cc(1,600cc×5)並みのエンジンになるって事ですね。

燃料流量制限があるのでブースト圧規制をしなかった。メーカーに対してこの部分で他との競争をしなさいって事なんでしょうね。

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ホンダに求められるエンジン開発

メルセデスがエンジン+MGU-K(約163馬力ps)=1,000馬力目前らしいとの事。

簡単に言えば1,600ccターボエンジンでピークパワー800馬力以上が必要となる。それを実現するには高過給圧と高圧縮比で燃焼効率を上げる事になります。

ホンダが高圧インジェクターを投入したのは2017年が初でありまだまだ使いこなせていない事。それと同時に燃焼効率を上げる燃焼室の形状が確立できていない。

圧縮比18(シリンダー容積 18:1 燃焼室容積)を達成できないとメルセデスには追いつけないでしょう。

こうやって書くのは簡単ですが、実現となると一体どのくらい研究予算が必要になるのかな見当もつきません。メルセデスが出来たんだからホンダにもできるはずだ・・。