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レッドブルが2019年と2020年の2年契約での、ホンダエンジン搭載が正式に発表された。

思えば昨年シンガポールにて発表されたトロロッソへのワークス供給の時、とりあえずトロロッソでホンダの信頼性やパワーを見せつけて将来的にトップチームであるレッドブルに供給出来たら良いね。

なーんて考えていたのは私だけではないと思いますが、あっという間に現実になりました。

あの口うるさいレッドブルと組むことは一筋縄ではいかない事だと思います。現状の発表段階では両者とも来年へ向けたやる気と期待に満ち溢れていますが、現実問題まだ不十分なパワーと信頼性を確立しない事にはルノーの荷の轍を踏む事になりかねない。

エンジン規定が変わる2021年の契約がない事が、レッドブルとしては選択の余地ある好条件である事とルノーよりホンダの進歩率に賭けたともとれる内容だ。

ホンダとしては、レッドブルと組むことで優勝を勝ち取る最短ルートを手にした事になる。

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レッドブルがホンダを選んだ理由

レッドブルがホンダを選んだ理由は色々あると思う、私なりの見解を述べようと思います。

ルノーは3年契約しか受け付けない

F1ファンならご存知な事かと思いますが、ホンダ復帰1年目2015年にあったレッドブルのルノーに対する痛烈な批判。これは本当にひどかった、レッドブルは撤退までちらつかせエクレストンを揺さぶりメルセデス、フェラーリエンジンを手に入れようと画策。

結局はルノーとの1年契約にて2016年を戦った。そして2年の契約延長を早々に発表し関係は改善していると思われていたが、いつまでたってもメルセデスやフェラーリに追いつけない開発計画遅れに口撃は終わらなかった。

バッチネームをTAGホイヤーにしているのに、公然とルノー批判を繰り返すレッドブル。ルノーはF1政治圧力により渋々3年間レッドブルに供給していたと思われる。

規定が変わる2021年を含む3年契約でしかルノーは受け付けない姿勢を貫き、ホンダはその辺りの折り合いをつけた2年契約となっている。

燃料との密接な関係が影響

現在の高圧縮比直噴ターボエンジンは燃料との相互開発が重要となる。ルノーは今年カナダGPまでに20psの改善をしていると主張する。事実パワーサーキットであったカナダでルノーワークスはミッドフィールドでトップ成績だったので本当の事だと思う。

しかし燃料の違いによりレッドブルは12psの恩恵しか得られず、ドライバビリティも悪化してしまっている。

現時点でホンダとルノー差は、私的予想10~20psなのでレッドブルの使えるパワーとトロロッソが使えるパワーは僅かな差しかない状況だと思われる。モービルはハンガリー(7月27日~)までは新燃料を導入できないと言われているがカストロールが導入したのはスペイン(5月11日~)であり開発期間2ヵ月以上を要する。

総パワー900ps以上の開発競争では、各エンジンに合った燃料が非常に重要となっている。燃料は年間3種類までしか許されていない事も大きな要因となるだろう。

ホンダはモービルの燃料で開発しているので、モービルと提携しているレッドブルが得られる恩恵が大きくなる。

開発資源の共有化

お金持ちチームであるレッドブルと言えども、開発資金や資源が青天井と言うわけではない。ミナルディを買収した時もシャシーが共有できる規約変更を目論んでいたが実現せず、チーム間での研究成果のやり取りは禁止されている。

同じエンジンを使う事は、ギアボックスを含むあらゆるボディ内部のコンポーネントが共有化できることに繋がる。

フェラーリとハースのような関係がより現実なものとなる。共有できるパーツが詳しくわからないが、モノコック、表面的なボディ部分、各種エアロパーツ、フロアさえ違えば、内部パーツはほとんど許されていると思う。

トロロッソの疑似レッドブル化を強く推し進める事ができ、メカニカル面での設定であるホイールベースや高度なサスペンションは完全に同一となるだろう。

トロロッソにとっては開発エリアが少なくなり資源の集中化を図れる。レッドブルにとっても開発資金の回収に繋がり双方の相乗効果は上昇する。

車体マッチングの改善

ホンダ側の発表から察すると、トロロッソとレッドブルはどちらが上と言う概念がない。所有者が同じなのだからこういう発表になるよね。

エンジンとの連結に重要なギアボックスはレッドブルが開発することになるのだから、ホンダはレッドブルの要求を多く受け付ける事に今後なるだろう。

ホンダはルノーよりもコンパクトである事とレッドブル主導の開発により、車体側とのマッチング効果は高まり、今よりもレッドブルの運動性能は向上するかもしれない。

拠点の合理性

ホンダのイギリス拠点とレッドブルテクノロジーは、同じミルトンケインズにある。

トロロッソへの供給をきっかけに、ホンダはレッドブルの高度なシミュレータ技術を使用して実走との相関を改善している。

その他のオペレーションについても、より強固な協力体制のもと行われていく。同じ場所にある事の利点は大きいと感じる。

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まとめ

レッドブルがホンダを選ぶ事になった利点はざっとこんな感じでしょう。

このままルノーと組んでいてもワークスチームがあるルノーの最大限の協力は得られない。チャンピオンになるのは不可能だ。

だったら、協力体制を得られるほとんど差がないホンダにしよう、尚且つ2021年の新規定時に変更できる好条件の契約の方が良いと考えたレッドブルは賢い。

ホンダの伸びしろに左右されるリスクはあるが、お互いの相乗効果の可能性に賭けたレッドブルとホンダは果たして上手く行くのか?来年が楽しみで仕方がない。