過去にあったF1技術に迫る!今回はブロウンディフューザーについてです。

 

Blown Diffuserは2010年にレッドブルRB6に搭載されディフィーザーの効果を高めるものでした。

ダブルディフューザーとの組み合わせにより、高ダウンフォースが必要なコースでは圧倒的な強さを見せた。

 

排気ガスの力を利用して、ディフィーザーの効果を高めて、フロアの空気を加速させる。

それによりフロアの圧力を下げてダウンフォースを増加させるシステムです。

Sponsored link

ブロウンディフューザーのデザイン

http://www.somersf1.co.uk/

サイドポッドの上方にあったエキゾーストが、ディフィーザー前に設置されています。

 

その流れはダブルディフューザーに入り込むようになっています。

http://www.somersf1.co.uk/

フロアから 空気を吸い込むダブルディフューザーの効果を高めるような構造になっています。

http://www.somersf1.co.uk/

 

ブロウンディフューザー2011 Ver.

2011年はフロアに開口部を設けることが禁じられました。

これによりダブルディフューザーは消滅し、2010年型の排気出口も意味をなさなくなりました。

 

そこで考え出された結論は、リアタイヤとディフューザーの隙間にエキゾーストを設け排気ガスを吹き付けることでした。

 

https://www.f1technical.net/

 

排気の流れは以下の様なものになります。

https://scarbsf1.wordpress.com/

ディフューザーの下面にも排気を引き込みフロアの速度を上げる、そしてもう一つはリアタイヤが引き起こす乱流をディフューザーに影響させないようにすること、これによりディフューザーの密閉度が上昇し安定した効果を生み出します。

 

ディフューザーの効果はその体積に比例して大きくなるので、レッドブルはリア車高を上げる事(高レーキ角セッティング)で疑似的に大きくし、その両サイドは排気ガスで作られる気流の壁を備え、大きなディフューザーを作り出していました。

 

ブロウンディフィーザーの問題点

2010年は排気の通り道にある、リアサスペンションのロアアームを上昇させる必要があった。

ギアボックスの変更やサスペンションジオメトリーの変更などが必要になり、レッドブルと同等の性能を引き出せたのはフェラーリのみでした。

 

そして、排気ガスが発生しないオフスロットルにおいて、ダウンフォースレベルが極端に下がってしまう事も大きな問題でした。

そこでエンジンマッピングを改良して、オフスロットルブローイングを投入しています。

 

オフスロットルブローイングとは?

コールドブローとホットブローの2種類があり、コールドブローはアクセル開度がオフになると、スロットルバルブが全開になりエンジン内に空気だけを通らせてエキゾーストから排出します。

 

ホットブローはスロットルオフでも燃料を供給して、ピストンを押し下げないように点火タイミングを遅らせ、トルクを発生させないようにエキゾーストで燃焼させます。

ターボ車のアンチラグシステムと同じ原理で、スロットルオフでも排気ガスを発生させる。

 

ホットブローの方が、排出する気体速度が速くなり、ブロウンディフィーザーの効果を最大限に発揮します。

 

ホットブローは主に予選時に使い、レースではごく一部で使うようにしていました。

燃料消費はレースにおいて10%増加したと言われています。NA2.4ℓV8エンジン時代はレースでの燃料消費は約200kgであり、10%も多いとなると約20kg余分に燃料を積んでいたことになります。

 

ラップタイムで約0.6秒遅くなるはずの重量ハンデを消し去り、それよりも速く走れる効果があったと言う事です。

 

オフスロットルブローイングサウンド2011年イタリアGP

2011年はリアタイヤ側面に高温の排気ガスを吹き付けるために、タイヤの加熱やサスペンションパーツの耐熱性など様々な問題を引き起こします。

レースにおいてはコールドブローとホットブローの使い分けが勝敗を握っています。

 

エキゾーストが長くなることで排気効率が悪くなりパワーダウンする問題もあった。

2010年はブロウンディフィーザーとFダクトのコピーと言う二つの技術開発が各チームを混乱させる事になった。