2018年F1マシンの最低重量は2017年より5kg増加して728⇒733kgになる。しかしヘイローの強度や取付器具などを試算すると14kgにもなると言う。

現行より9kgも軽量化しなければならないし、あのような重量物がドライバーの頭の位置にあるため重心は上昇してマシンバランスが悪化、総じて2017年より遅くなると思われている。

https://www.formula1.com/

バッテリーやモーターなどを使うパワーユニットになったせいで重量は増加傾向にあり、2017年の各部が大型化した車体規定変更のため更に上昇していた、そしてこのヘイロー装着でまたも増加している。

Sponsored link

F1最低重量の変化

1994年は505kgでスタートしてセナが事故死したのをきっかけに安全性アップために520kgとなっています。

ドライバーを含む最低重量の規定が初めて設けられたのは1995年で595kgでした。それまではドライバーの体重は考慮されず軽い人が圧倒的に有利でした。

近年の最低重量比較表

年度 最低重量 主な変更点
2008 605
2009 605 KERS導入
2010 620 KERS禁止
2011 640 KERS再導入
2012 640
2013 642
2014 691 PU(ERS)導入
2015 702
2016 702
2017 728 新車体規定
2018 733 HALO導入

ここ10年ぐらいの最低重量の変化をまとめました。ハイブリッド化から急速に最低重量がアップしています。2009年はKERS導入初年度ですが、重量規定が変わらなかったため、その重さから導入しないマシンが多く、チャンピオンになったブラウンGP(旧ホンダ、現メルセデス)は非搭載でした。

2014年では導入されたパワーユニットの重さを考慮した増加により一気に49kgアップしたが、それでも足りずドライバーは厳しい減量を強いられています。

そして2017年新しい車両規定によりタイヤだけでも6kg増加するなど、マシンが全面的幅広になったために最低重量が728kgになったがメルセデスなどは開幕当初これを超えていたようです。

このため序盤戦ではハミルトンは決勝でドリンクの量を減らすなどして対処し、少しでも軽い状態で決勝を戦う姿勢を見せていた。

ドライバーはまた減量苦にさらされる

2018年ではHALO搭載で14kg増加する車体なのに最低重量はたったの5kg増加となり、そのしわ寄せはドライバーに直撃する。またも減量苦に悩む大柄なドライバーが増える事になりそうだ。

チームはマシンを軽量化をする事でパフォーマンスアップさせようとしているが、低予算チームは改善ができずにいる。ザウバーのエリクソンが自分の方がウェーレインよりも10kg重かったと発言している事(だから遅かった・・)からもザウバーは最低重量を超えていたと思われる。

2018年においてドライバー側からの要求が強くなれば、最低重量はさらに増加する可能性はあります。

Sponsored link


マシン開発力差もさらに増加する2018年

最低重量が上がりすぎて軽やかに走るF1では年々無くなってきているが、安全性とハイブリッドパワーは今後のF1において切っても切れない縁となっているので致し方ない状況。

HALOによる空力的な影響もさることながらこの重量増の影響はかなり大きいです。前後重量配分は規定によりほぼ決まっていますが、HALOはリア寄りの重量を増加させます。

重量規定比較表

2017年
最低重量(kg) 728
最低重量配分 フロント リア フリー
330 391 7
2018年
最低重量(kg) 733
最低重量配分 フロント リア フリー
333 393 7

メルセデスはロングホイールベースでフロアを長くしてダウンフォースを増加させていますが、この重量増の影響はかなり大きいですね。来季はレーキ角によるダウンフォースの獲得を目指したコンセプトに変更するかもしれないとの話がでていましたが、この事を加味した発言だったのかな。

低予算チームはマシン軽量化、低重心化など、色々な側面での開発遅れがトップチームとの差として表れ、2017年水準より差が広がってしまう事が懸念されます。

HOLOによる見た目ばかり気にかかっていましたが、空力や特にこの重量面でのマシンやドライバーに与える影響は大きいです。2018年は色々と見方を変えないとならないですね、どうして速いのか遅いのかの要因が増えそうである意味面白くなりそう。