FIAを9月に退職した元技術部門責任者マルチン・ブコウスキーが10月5日にルノーに加入する事が発表された。

これに対して6チームはFIAとFOMに、各種実用情報に内部で接していた前FIA技術部門責任者がルノーに参加することへの懸念を表明していた。

彼はFIAでの役割上、生産開始前にFIAへ提出される研究開発の内容を含む、チームやエンジンサプライヤーから得られた技術情報に、広範囲に渡ってアクセスする権限をもっていた。

現在ブコウスキーは3カ月のガーデニング休暇中で終わり次第ルノーの現場で働きだす。

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マルチン・ブコウスキーの経歴

ポーランド出身。フランスのエコール・ポリテクニーク、航空宇宙高等学院、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンを卒業。専攻は空力エンジニアリング。

2001年プロスト・グランプリに加入し、2002年にはCFDを担当するエアロダイナミシストとしてフェラーリに移籍し2007年9月まで在籍。退職した時はフェラーリの空力プロジェクトリーダーに昇格していた。

その後マクラーレンにシニア・エアロダイナミシストとして移籍し、トラックサイド空力チームリーダー、空力開発プロジェクトリーダー、副チーフ・エアロダイナミシストなどを歴任した後、2012年11月に空力部門の代表に就任している。

ブコウスキーはFIAには2014年10月に加わり、いくつかの役職を経て、2017年2月に技術部門責任者に就任。

F1技術レギュレーションについて

日本語版がなかなか発表されなくて待っていましたが最近確認したらPDFファイルがありました⇒http://jaf-sports.jp/information/regulation/

F1技術規則には以下のような記述があります。

2.4 規則の遵守
車両は競技期間中、いかなる時でもこれらの規則に合致していなければならない。
新たな設計あるいはシステムを導入する、または本規定のいかなる解釈においても不明瞭であ
ると感じた競技参加者は、FIAフォーミュラ1技術部に解釈を問い合わせることができる。
規定解釈が新しい設計やシステムに関連する場合の連絡文書は以下を含んでいなければならな
い:
a)設計やシステムについての完全な記述
b)該当する場合は図面や概略図
c)提案される新しい設計がその他の車両部品に対して及ぼす直接的影響に関する当該競技参
加者の意見
d)そのような新しい設計やシステムを使用することに起因する考え得る長期的因果関係や新
たな進展に関する当該競技参加者の意見
e)当該競技参加者が、その新しい設計やシステムが車両の性能を向上させると感じる使用方
法や特性の詳細

設計の図面、その使用方法、恩恵などなど本当にすべて見れていたんですね。

風洞プロセスとCFDの管理

各種パーツの設計やその恩恵など、さすがに全部を頭の中だけに覚えておくには無理があるでしょうしコピーは所詮コピーの性能しか出せない訳です。各専門エンジニアに重大なアドバイスができる事にはなるでしょうが。

そんな事よりも最も重要なのが「風洞プロセスとCFDの管理」になります。この空力関連開発は規制があり、風洞1時間かCFD計算1テラフロップ(コンピュータの処理性能を表す単位)を週あたり25回となっている。

チームはその実験の内容をFIAに報告しなければならないため、このすべてに目を通していたブゴウスキーはトップチームが風洞とCFD開発においてどのように最良のバランスをとっていたか熟知している事になる。

空力専門のエンジニアだったのだからトップチームの実験結果を知る事が出来た上で、理解する事もできただろう。この事はメルセデスのウォルフとレッドブルのホーナーが強く懸念を抱いている。

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ルノーF1チームは本気です

ルノーのシリル・アビテブールは足りないものは空力だと発言していた事もある。そして現在ファクトリーは拡張工事中でスタッフは当初の475人から640人に増えている。

予算的にも増額中であり必ずチャンピオンになる目標のもと人員的にも拡充の方向です。そんな中でこのブコウスキーの加入発表です。

彼の知識が生きてくるのは2019年度からになるでしょうけど、今トップに君臨している全てのチームの内情を知る事ができる利点は相当なものです。

まとめ

9月退職で10月発表ってさ、その前から接触があってあらゆるデータを頭の中に入れて家で保存してるのは明白だろうに、こんな事が許される事の方がおかしいよFIAさん。

スパイ容疑で厳しい裁定をその昔行っているけど自分が関わった途端だんまりですかい?たった3カ月の休暇で監視していたチーム側に入れるなんてどうなのよ。

 

FIA公認の技術関連スパイが誕生してしまったようです。