2011年からピレリのワンメイクタイヤによりF1は運営されている。タイヤ開発競争による無用なチーム間格差を取り除くため、ワンメイク化はFIA側が望んだスタイルだと記憶している。

現在のサプライヤーであるピレリのレーシング・マネージャーのマリオ・イゾラは「Autosport International 2018」で以下の様に語ったようです。

引用元⇒Pirelli says F1 tyre war would damage competition

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タイヤ開発競争はチーム間格差とコスト増を生み出す(マリオ・イゾラ)

https://twitter.com/pirellisport

「以前とは状況が違う。今は全てのチームに同じ製品を提供している。我々は全てのチームのタイヤを同じレベルに設定している」

「そこにタイヤ間の競争が生まれると、テストを行わなくてはならないため、コストが増加するだろう」

「タイヤメーカーにはどのチームにも同じ性能のタイヤを供給しなければならないという義務はないため、中団チームよりもトップチームに対しより優れたタイヤを提供するということも可能だ」

「タイヤはトップチームと他のチームの差を生み出すことができる。もし2~3社のタイヤメーカーがF1に参入したとしたら、いくつかのチームは上位を目指すことができるだろうが、残りのチームはパフォーマンスを向上させるのに苦労するだろう」

「タイヤによって簡単に0.5秒速くなったりするのだ。もし複数のメーカーが参入すれば、チームの格差は今よりも広がるだろう」

過去のタイヤメーカー参戦一覧

参戦メーカー
1990 グッドイヤー ピレリ
1991 グッドイヤー
1997 グッドイヤー ブリヂストン
1998 ブリヂストン グッドイヤー
1999 ブリヂストン
2000 ブリヂストン
2001 ブリヂストン ミシュラン
2002 ブリヂストン ミシュラン
2003 ブリヂストン ミシュラン
2004 ブリヂストン ミシュラン
2005 ミシュラン ブリヂストン
2006 ミシュラン ブリヂストン
2007 ブリヂストン
2010 ブリヂストン
2011 ピレリ
2017 ピレリ

※左側がチャンピオンメーカー


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今までの主なタイヤ開発競争

1989年から1990年に参戦したピレリは、グッドイヤーに全く歯が立たずに撤退している。

グッドイヤー対ブリヂストン

1997年ブリヂストンが参戦し、長らくワンメイクだったグッドイヤーは技術力が停滞していた。ブリヂストンタイヤはグリップ力と持続性ではグッドイヤーを上回っていたもののトップチームとは契約できなかったため優勝はできなかった。

それでも、グッドイヤーよりもタイヤ交換を1回減らした作戦などで優位に立つ場面もあり、プロストとアロウズが表彰台を3回獲得している。アロウズ・ヤマハのデーモン・ヒルがハンガリーで優勝目前までいくがミッショントラブルで2位と悔しい思いをしている。

1998年には、マクラーレンとベネトンがブリヂストン陣営に加わり。マクラーレン・メルセデスのミカ・ハッキネンがチャンピオンになっている。またグループドタイヤ初年度であったためフロントタイヤのワイド化を提案し序盤戦無類の強さを発揮した。

グッドイヤーはフェラーリと強固なパートナーシップで開発を推し進め、シューマッハと共にすさまじい追い上げを見せた。グッドイヤーはフェラーリ専用タイヤ、ブリヂストンはマクラーレン専用タイヤとなりシーズン中はまさにタイヤ戦争状態へ。他のチームはそんなタイヤにマシンを合わせる事が出来ずに不満を爆発させていた。

グッドイヤーはこの1998年をもって撤退している。

ブリヂストン対ミシュラン

2001年よりトヨタに誘われてミシュランが参戦。ウィリアムズとベネトンがミシュラン陣営へ移籍した。前年度フェラーリで悲願のチャンピオンを獲得したシューマッハがとにかく強かった。ブリヂストンも落ち目だったマクラーレンよりもフェラーリを優先して開発を進めている。

2002年ではマクラーレンもミシュラン陣営に加わったが、フェラーリ+ブリヂストン+シューマッハは完全に別レースをしているような速さでシーズンを絶賛している。

2003年はマクラーレン+ミシュラン+ライコネンとフェラーリ+ブリヂストン+シューマッハの争いが激化したが、マクラーレンのマシンにトラブルが多く、シューマッハがチャンピオンへ。

2004年はフェラーリが圧倒的に強く、ミシュランは陣営ではBAR・ホンダがコンストラクターズ2位になっている。マクラーレンやウィリアムズはマシン開発を完全に失敗していた。

2005年は、決勝でタイヤ交換禁止というとてつもないレギュレーションが発行された。ブリヂストン陣営はフェラーリ、ジョーダン、ミナルディの3チームのみ。開幕から圧倒的にミシュラン優位の状況でルノーのアロンソがチャンピオンへ。

シューマッハはなんと1勝止まり。それもアメリカGPでのミシュランタイヤ陣営が決勝レースを(構造上の問題でタイヤが破裂する危険性があったため)走らなかったためだ。

2006年はルノー+ミシュラン+アロンソとフェラーリ+ブリヂストン+シューマッハの争いが激化。見ごたえあるマシン開発とタイヤ開発競争になっている。アロンソが2年連続チャンピオンへ。

FIAは2008年よりタイヤワンメイク化を導入しようとしていたため、それに反発するミシュランとの確執が高まっていた。最終的には2006年限りでミシュランは撤退した。

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まとめ

思い出せる限りタイヤ戦争時代を振り返ってみました。ピレリのイゾラ氏が言う通り、タイヤ戦争の勃発はチャンピオン争いしているチーム以外はそのタイヤを使いこなす事が出来なくなっています。

演出面を考えても意図的にタイヤ交換を増やす方が、レースとしての面白さは増すでしょう。これが複数メーカーによる争いになるとグリップ力と耐久性を追求してピット回数が減るのは間違いない。

どこかの調査によるとF1ファンの69%がタイヤ戦争を望んでいるなんて結果があるようです。このあたりは人それぞれに考えや意見があるでしょうが、ワンメイクの方がチーム間格差がなくなり今後のF1にとっては良い気がしてます。