今年のフェラーリは開幕そしてバーレーンで優勝してレースペースの良さを見せつけている。これには見た目にも派手なサイドポンツーンの空力パーツによるものも大きいでしょうが、それを安定させるサスペンション技術の改善が大きく関係している。

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サイドポンツーン空力パーツ

フェラーリSF70Hの特徴的な部分はバージボードエリアの空力パーツである事は明白で、サイドポンツーン前での空気流の振り分けが特に影響していると考えられる。他チームもこのエリアの開発は積極的で毎戦変化が見られるポイントでもある。

http://en.f1i.com/

何度見ても複雑な構造だと感心させられます。空気流をサイドポンツーンから離さずにマシン後方のデュフーザーとリアウィング下の間に導こうとしているのがなんとなくわかります。

他チームと最大の違いは上部からのサイドポンツーン内へ空気を導く構造がある事ですね、正面から取り入れる空気の入口が狭い分を補っていると推測されます。その分正面からの空気抵抗を減らせるメリットが生まれます。

また、重要なポイントであるフロア下で発生するダウンフォースは車高に敏感に反応しますのでこれを安定させるサスペンション技術が必要になります。フェラーリはこの部分で昨年遅れていると予想されています。

https://www.formula1.com/

サスペンションの進化

今年から「トリックサスペンション」と呼ばれている、ヒーブサスペンションと呼ばれる車の上下動を制御する装置の油圧などによる2次的制御が禁止されました。メルセデスやレッドブルが昨年採用していたと思われる技術ですけどフェラーリは持っていませんでした。

サスペンションの機構の図解がこれです⇩

http://www.f1fanatic.co.uk/

そして今年のフェラーリのフロントサスペンション画像がこちら⇩

http://en.f1i.com/

黄色の矢印がトーションバースプリング、緑の矢印がヒーブサスペンションとなります。

このヒーブサスを油圧で可変的に変化させる(トリックサス)ことは可動空力部品と見なされレギュレーション違反となりました。これらの技術をFIAに見解書を送ったのがフェラーリです。

メルセデスとレッドブルのアドバンテージを消し去る事に成功したフェラーリはこの部分を完全なる機械式で稼働させいます。

逆に言えばこのヒーブサスをずっと機械式で稼働させてきたフェラーリに今度はアドバンテージが生まれたと考えるのが自然ですね。

ヒーブサスに関しては津川さんもコラムで指摘しています⇒【津川哲夫の私的F1メカ】フェラーリ躍進の核心か。今季搭載の機械式ヒーブサスペンション

ダウンフォース増加の影響

ダウンフォースが30%増加し、それに対抗するためにサスペンションは硬く設定しなければなりません。昨年メルセデスやレッドブルに見られたしなやかに動くサスペンションは今年はいまのところみられません。

この2チームはトリックサスのアドバンテージを失い、更にはダウンフォースの影響も考えたサスペンション機構を新たに考える必要がある状態にあります。

柔らかいサスペンションを失い高い縁石を乗り上げる事も減っています。特にタイヤの作動温度に対して両チームは苦労している現状があります。

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タイヤの作動温度

フェラーリの特にベッテルはウルトラ、スーパーと言った柔らかいタイヤではメルセデスより上手に作動温度領域内で制御できています。

対するメルセデスはウルトラとスーパーでは作動温度領域を超えてオーバーヒートしてしまう現象がオーストラリアとバーレーンで見られました。

レッドブルはソフトタイヤへの対応が出来ていなくバーレーンでは熱を入れられずにリカルドがずるずると後退していきました。

フェラーリはベッテルがタイヤへの対応ができていて、ライコネンは出来ていないためこの考えに確信がもてませんがフェラーリの方がタイヤをより良く理解していると考えるのが妥当でしょう。

まとめ

フェラーリは政治的駆け引きにより、トリックサスを封じ込める事に成功。そして今年メルセデスに先勝する事が出来ている。空力に関してもかなり突っ込んだ開発をしている。

守って(サス)攻めて(空力)を具現化させた今年のフェラーリは一味も二味も違う頼もしさを感じます。車本来の速さはメルセデスが上でもレースで勝てるフェラーリには今年かなり期待していいと感じています。

3年間独走だったメルセデスは完全に悪役になっていて、フェラーリに肩入れするF1ファンが多いと思います。もちろん私もそうですけどね。フェラーリ頑張れ!